Aries.

Home > 小話 > 闇の眷族、みたいな、はじめての家出編その1。

2012.04.15 Sun 闇の眷族、みたいな、はじめての家出編その1。

――最初に言っておく! 続きは、まだ書いてない!(どーん☆)

そしておもむろにはじまっているので、闇の眷族なんぞや?という方はこのあたりをザッとお読みいただき、この新キャラは誰ぞ?という方はとくにこのあたりご一読いただければ幸いです。










 とてもつまらないケンカをした。本当に些細なことだった。
「きっかけがなんだったのか、まったく思い出せません」
 その程度だから、いつものことだと、いつものように、受け流してしまえばよかったのだけれど。今日にかぎっては出来なかった。腹立たしくてしかたなかった。
「そらァ、あれだな――生理前」
「やはりそうでしょうか?」
 テーブル越しに訊き返すと、向かいに座る相手はなぜだか妙な顔をする。
 呆れたように、どろんと瞼の力を抜いてこちらを見つめるその目の色は、あの人の青色よりもずっと色が薄くて氷に似ていた。ピンで適当に留めた髪は濃い銀色。この部屋の住人で、名前はカイさん。天羅のお父さんのお抱えコックさんだけれど、いまはわけあって、お屋敷を出て暮らしている。
 大きくて強い犬みたいな目でじっと見つめられるので、なんだろうかと首をかしげると、カイさんは軽くため息を吐いた。
「あのな、」
「はい」
「下ネタの処し方ってのを、教えてもらっとけ」
 どういう意味だろう、と首を傾げればカイさんがさらに嘆息するので、「下ネタ」の意味を訊ねるのはやめにした。訊けば答えてくれそうだけれど、たぶん、カイさんは困ってしまうのだろう、と思う。それでなくてもお世話になっているのだから、あまり迷惑をかけたくはない。
 カイさんはお料理の先生だ。
 あの人に拾われて、一年くらい経った頃、俺じゃもうこれ以上の料理は教えられないから、と言って、引き会わせてくれたのがカイさんで。以来、こうしてひと月に一度くらい、お料理を教わりに来ている。
 今日は、本当は来る予定ではなかったけれど、うかがってもいいですかと連絡をしてみれば、いいと言ってくれた。それに甘えてお邪魔したのに、ちゃんと、つぎに貰うはずだったレシピも用意してくれている。テーブルに出された手書きのレシピは、どれも読んでいるだけでお腹が鳴ってしまいそうだ。甘くないデザートもある。
 だから、これ以上は面倒をかけたくない。
 レシピをまとめて、バッグにしまい、腰を浮かしかける直前のタイミングで、こちらが何か言うより早く、カイさんが口を開いた。
「――で、これからどうすンだ?」
 何気なく訊ねられ、とっさに返答できず、また首をかしげてしまう。
「どう、と、言うのは……」
「ケンカして、そのまま出てきたンじゃねえのか? あ?」
 ちょっと面倒そうに、凄むような問いかけにぐっと喉が詰まるのをなんとか誤魔化した。こんなふうに話しかけられるのは、こわい、けれど。カイさんの喋り方は、きっと癖のようなもので、いつもこうだから、怒っているわけじゃない。わかっていても、やっぱりすこしこわいけれど。
 みんながあの人みたいに話してくれたらいいのに、と、思うのは贅沢だ。
「これから、は……そのうち、帰ろうと、思います」
 そのうち。
 すぐには帰りたくない。
 ケンカをしてしまったから。些細なことで、とてもつまらないケンカだった。
 どうしてそんな話になったのかも、すぐに忘れてしまったのに。
(アキちゃんは、さ――)
(行きたいところができたら、俺なんかにかまわないで)
(好きにしていいよ)
(いつでも、行きたいところに、好きなように、行けばいいから)
 そんなふうに言われたことは何度もある。はじめから。
 けれど、腹を立てて、ケンカをして、黙って家を出て来たのは、これがはじめてだ。そのうちに帰ろうと思っている。そのうち。でもどうやって帰ればいいのか、わからない。
 帰っていいのか、わからない。
 だって、あの人は、わたしがどこに行ってしまってもいいと言うから。
「いーンじゃねえかァ?」
 カイさんが言った。
 同時に、ごつっと、テーブルに何かかたいものが当たる音がして、見れば湯気の立つマグカップが置かれている。ホットミルクだ。はちみつの甘い匂い。考え込んでいるうちに、用意してくれたのだと思う。
 お礼を言おうと、顔を上げると、カイさんが伸ばしてきた手に言葉をさえぎられた。
「ケータイ、貸せ。持ってンだろ?」
「持っています、けど」
「すぐ返す。それでも飲んでろ」
 出せ、と催促され、カイさんの手に携帯電話をのせて渡した。
 ピンク色の端末はあの人にもらったものだ。出かける時は、これを持っていなさいね。心配だから、ちょくちょく連絡してね。そう言われて持っていたのだけれど。今日は家を出てから、一度も連絡していない。
 心配してくれているだろうか?
 そう思うと、今からでも電話をかけるなり、メールをするなりしたい衝動にかられて、マグカップに口をつけつつカイさんの様子をうかがうように見てしまう。カイさんはこっちの視線に気付いているのか、いないのか。とくに複雑な操作をするでもなく、本当にすぐ、携帯電話を返してくれた。
「ほら」
 受け取ってみれば、電源が切れている。
「今日はもう電源入れンじゃねェぞ」
「あの、」
「家出だろ?」
 そう言ってカイさんは、面白そうに、片目を細くして口の端を上げた。
「どうせヤんなら、ハンパはなしだ」












カイさんに伏字しゃべらせたかったのにぃいいいいいいいっ! 口調迷子orz

おかしなところがあれば、ちがうんだゼここの言い回しはこうだゼ!と、お知らせいただければ全面的に修正いたしますお姉さま……こんなのカイさんじゃないよ、カイさんはもっとすごいカッコイイ不良コックなんだよっ、と、若干涙目の卯月です。



「新キャラぞくぞく投入してキャラ数をイッキに増やしてみたい!」と、思って書きだしたので以後、初登場祭になります。予告。っていうか、予定。書けない期なのに無謀なことやってるどうしようアッハッハ←


関連記事
スポンサーサイト



Comments

name
comment
白亜 : URL

Edit  2012.04.15 Sun 11:23

ご報告に参りました!

11日に、以前から言っていたHPが(形だけ! 本当に形だけ!)完成しました。
最近やっと覚えたHTMLで作ることができました。長かったぁ……っ!←
HPはただいま、仮公開中です。
それにあわせて、HNも変更しました。(秋野白亜 → 白亜)

リンクの貼り替えなど、お手数ですがよろしくお願いいたします。><

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2012.04.15 Sun 22:41

白亜さま
HP公開おめでとうございますー! リンク、変更いたしました゚+.゚(*´∀`)b゚+.゚
HPは、背景とか、いろいろ遊べていいのですけど……HTMLとか、CSSとか、厄介ですよねえorz しばらく手入れをしていないと忘れますし(笑)
卯月もそろそろ更新せねば……お互い、がんばりましょう!( ≧∀≦)ノ

ミズマ。 : URL

2012.04.17 Tue 07:51

カイさあああああぁぁぁぁん!
俺だあああぁぁぁぁ!!
結婚してくれえええぇぇぇぇッ!!!←


突然の登場で驚きました、カイさん。当然、いつものように電車内でエンカウントですよwww
顔面崩壊ですよwww
毎回、「今日はにやにやしないで読むんだい!」って、思うんですけどねぇ←後で読む、という選択肢はないのな。

カイさんはなんてメールしたのかなー?当然イクヤさんにですよねー。血相変えるイクヤさんが目に浮かぶわぁ。そのうちゴウダさんに送られてユリちゃん帰ってきたりするんですかねー?
というわけで、続き、待機しておりますよ!!


えと、カイさん。口調が迷子とのことなので、我が家で喋らせてみましたが……私も口調迷子なんだけどどうしよう^^;
ま、まぁ、ご一読いただければ幸いです。

ポール・ブリッツ : URL

2012.04.17 Tue 20:00

ご執筆は計画的に(笑)

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2012.04.18 Wed 22:03

お姉さま
勝手に登場させちゃってゴメンなさいぃいいいいい、どうしてもアキちゃんとカイさんをおしゃべりさせてみたくてぇえええええ!(そのくせ口調迷子w)
イクヤさん、アキちゃんに料理を教えるのに、最初からラスボス(※いい意味で)のところに行かせたっていうwww 自分(とりあえず基本とありがちメニュー)の次は、リリコさん(お母さんの家庭料理)とか、段階があっだろうに、極端www カイさん、レシピはB5ルーズリーフを縦半分にして、右側にガチ書き(食費とか手間とかムシのプロ仕様)したのを渡してから、左側に右の内容を一般家庭レベル(スーパーで調達可能&時短)に落とし込んで書きだしつつアキちゃんに口頭で説明、とかしてくれると嬉しい。たまに実演。アキちゃんの料理は尋常でなくおいしいはずです。
と、それよりも何よりも小話本当にありがとうございましたぁあああああっ!! 萌え萌えさせていただきましたカイさんカイさんカイさん///
つづきは鋭意、製作、中……ですっ!←


ポール・ブリッツさま
卯月に計画性があればなにかもっとすごいものになってるはずですようっ(。´Д⊂)ブワッ笑

comment form

Trackback

FC2Blog User

  1. Trackback