Aries.

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2012.08.29 Wed 闇の眷族、みたいな――ほら、ずっと、あなたがすき。

歌さまのお題サイトにかなり頻繁に出入りしお題を眺めてはニヤニヤしているわけですが! 今日は! たぎった!щ(゚ロ゚щ)ゥオオオッ

というわけで、抜き出し自由でお好きにどうぞって書いてあったのに甘えまくって小話のタイトルに使用させていただきました! さよならを忘れたから『ほら、ずっと、あなたがすき。』ありがとうございます!

……しかし、これを抜きだして良かったのだろう、か;;;(今さら;;;










 俺らの家だよ――と、きみが言う。
 ひと抱えの荷物だけ持って、手をつないで、電車に揺られていたら海が見えたから、この街で降りた。今日はどこに泊まろうか、野宿でもいいよ、キャンプみたい。小突けば崩れそうなブロック塀に空き部屋有りの貼り紙をきみが見つけたから、そうはならなかったけど、本当に野宿だったとしても、始終はしゃいでいるきみとなら、楽しいような気がしてた。
 築年数を知りたくもない安アパートの一室は大家の言った通りにがらんどうで、照明すらなく、日に焼けた畳は家賃相応に毛羽立ってひどいありさまだった。
 そんな部屋のなかで、きみが言う。
「俺らの家だよ、サキ」
「ボロだねえ」
 わざとため息を吐いてみても、きみの機嫌は良いままで。
「あのバアさん大げさなのかと思ったら、全然、話そのままだし。足の裏チクチクするんだけど、これ、やばくない?」
「ダニがいるんだよ。明日、お天気が良かったら畳干そう」
「家具もそろえなくちゃなー、ホント何もない。せめて電気くらいあってもよくね?」
「……イクヤ。お金、だいじょうぶ?」
「大丈夫だいじょーぶ! 家具買ってもしばらく食えるくらいあるし。俺、すぐに仕事探すから。心配ねえよ」
「あたしも働く」
「却下! サキは俺にいってらっしゃいと、おかえりなさいを言う係。それでいーの。――だから、帰ってきたら甘えさせて?」
「しようがないなあ」
 ここにテーブルをおいて、食器棚はあっちで、夜は布団をこうやって敷きたいけど、まず押し入れも掃除しなくちゃ――子どもみたいに部屋中を歩き回るきみといっしょに、ずっと笑っていた気がする。
 ここにはなんにもないけれど、きみと、あたしがいて。
 すごく完璧な世界だった。
 だからきっと長くはつづかないって、思ってる。あたしのしあわせは、いつでもすぐに終わるから。ずっとそうだったから。
 ごめんね、イクヤ。ごめんね。
 きっと今日の一日みたいに、あっというまに終わっちゃうけど。カーテンレールすらない剥き出しの窓から射し込む、この残照みたいに、すぐに消えてしまうけど。
「――ねえ、イクヤ」
「んー?」
 なあに、と、はしゃぎ疲れたきみはなにもない部屋のまんなかに座りこんで、振り向きもしない。テレビはどこに置くかなんて、そんなのは明日考えてもいいと思うけど。
「おなかすいた?」
「? べつに……あー、サキが、食べたいなら。いっしょに食べる。出かけようか」
「ここでいい」
「なにもないじゃん」
「あるよ」
 あるよ、ぜんぶ。
 きみとあたしのぜんぶ。
 肩越しに振り向こうとするきみのそばに座って、不思議そうな顔をするきみにキスをした。
 おどろかせて、閉じる間もあげなかった唇のすきまから入り込ませた舌の先を、きみの、あの白い牙に引っかけると、すこしだけ痛い。
 ねえ、イクヤ。
「おなかすいた?」
 日が落ちて、夕焼けの最後の名残も消えて、明かりもなくて暗くなっていく部屋のなかで、赤く底光りするようなきみの目がきれいだった。
 ごめんね、イクヤ。
 あたしのしあわせは長続きしないから、きっとすぐにいなくなるけど、そのあとも憶えていてね。声だとか温度だとか。きみが抱きしめてくれた身体だとか。今日が楽しかったことだとか。あたしの血がどんな匂いだったとか。憶えていてね。
 きみの思い出のなかでだけでも、せめてずっと幸福でいたいから。
 ごめんね。

 ――だいすき。












サキさんはツンデレ。イクヤさんのことは、呼び捨てか、きみ。ゴウダはつねにゴウダくん。


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Comments

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Edit  2012.08.29 Wed 09:13

あれっ、留守している間に卯月さんの日記のお名前変わってる! 英字! かっこいい! といそいそやって参りまして思わぬカウンターパンチにあわあわしております…!! 使ってくださってありがとうございますー! あれはどこを切っても取っても問題ないサイトなので、ぜんぜん大丈夫ですよー♪

サキさんせつない…(つ□;)
やっぱりサキさんは、波打ち際というか、海の中まで入らないけど白波に足をあそばせている、そんなイメージです。(聞いてない)ピンと芯が通っているけど、どっか儚い。
それにしてもイクヤさんはまるでワンコのようですね!そしてやっぱり若干ヤンデレ入ってますね!「甘えさせて?」にそこはかとないヒモ属性が垣間見えた気がしまsげふごふ。

乱文失礼致しました;;;

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2012.08.29 Wed 22:14

祭 歌さま
じつは日記は別のブログに移動して、ここは創作ネタのみの場所になりました(〃ω〃) たびたびブログ名変えてすみません;;; 唐突にアルファベットでカッコイイ感じにしたくなっちゃって!←
お題、抜き出しOKで良かったです。眺めてニヤニヤしていたら「――キタァッ!」と、思って、勢い余ってしまったけど大丈夫かなドキドキ、と、思っていたので(〃pq〃) ありがとうございます。素敵なお題でいつも栄養補給させてもらっております!
そして隠しきれないイクヤさんのヘタレ臭についてwww あれー、過去時間のイクヤさんはまだ挫折をしらなくてハッピーハッピーで俺無敵☆状態でイケイケ(笑)のはずなのになー、あれれー?www 

ミズマ。 : URL

2012.09.01 Sat 18:17

ヒモ属性www
歌さんのコメントで吹きましたwww

デレデレのくせに甘々のくせに文章からにじみ出る暗さというか悲壮さというか、未来を知ってるたら切なくてしょうがないんですけど、でもにやにやは止まらない……!!
今回もエンカウントは電車内だったわけですけれどorzスマホからではコメント書きにくかったのでお家に戻って思う存分にやにやしながら書かせていただいております。

イクヤさんとサキさん、なんか尾崎豊みたいだなぁ← 今だけは悲しい歌、聞きたくないよ。この先に悲劇と別れが待っているとわかっているだけに、胸に沁みるわぁ。
切なくもにやにやなんですけど、そこはかとなく漂うイクヤさんのヒモっぶりが……!
この頃は、確かに「オレ・無双!」なはずなのに、どうして漂うのだヒモ風味よwww

いやぁ、楽しゅうございました!

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2012.09.01 Sat 23:28

お姉さま
イクヤさん×サキさんのイメージは、尾崎ソングです! あってます! でも卯月、尾崎ソングは懐かしの歌番組で聞いたサビしか知りませんがげふげふ←
そしてヒモ属性wwwww あれー、おかしいな、イクヤさんむしろサキさん養う気満々のはずなのにおかしいな、あれれー?wwwww 根底に流れるヘタレの血は隠しようがないということですね!(笑)
そんなヒモ属性のイクヤさんがキャッキャしてテンション上げてるとなりで、サキさんもキャッキャしてたけどちゃんと冷静な自分を保ってて現実が見えてたけど、喜んでるイクヤさんを落ち込ませるのはかわいそうだったし、現実を突き付けられたイクヤさんの反応がこわくて言えなかった、っていう――結局イクヤさんのメンタル面のヘタレが何もかもの原因という気がして仕方ないです正ヒーローがんばれお前マジで! な!?(切迫)
ともあれ二人とも、しばらくはアパートの部屋でイチャらぶ生活なので! 楽しんでいただけて良かったですーヾ(´∀`*)ノ

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