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2012.09.29 Sat 闇の眷族、みたいな――楽園を灼く。

歌さまのお題サイト50題に挑戦、まだまだ続きます! なにせまだ1/5!(遠い目)

ええっと、いちおう、ヤンデレ注意?









「Lavender's blue, diddle, diddle, Lavender's green――」
 世界中が、うつくしくあればいいのにね。
 この部屋のように整えられて、清潔で、窓から見えるあの庭のように、うつくしければいいのに――世界は、乱雑で薄汚れているから。僕は言ったんだ。
 お外に出てはいけないよ、って。
「さあ、もう泣かないで」
 おびえて震える身体を抱きしめて、やわらかい髪におおわれた丸い頭を、そっと撫でてあげる。かわいい、ちいさな妹。凝りもせず部屋を出て、いつものようにひどい目に遭って泣いている。かわいそうな僕の妹。
 だから何度でも教えてあげるよ。
「きみの父親は当て付けのためだけに人間の女なんか孕ませて、お母様に喰べられてしまったけれど。きみの母親も、自分の子どもを置き去りにして、ひとりで逃げて死んだけれど。だれもきみのことを愛してなんかいないけど、僕はきみを愛しているよ。かわいいアカネ。僕だけがきみを愛してる。僕だけがきみを必要としてる。僕だけがきみを守って、幸せにしてあげられる。だから――きみも、僕だけでいいんだ。ね?」
 この世界は乱雑で、薄汚れて、お母様は僕の名前なんて憶えていないけれど、そんなのは有り余るほどありふれたどうだっていい事柄の、ほんの些細なひとつにすぎない。
「もう泣かないで、笑って。アカネ」
 この部屋は整然と清潔で、あの庭はとてもうつくしい。
 ここに、僕のためだけのきみがいて、僕にだけ微笑み、僕の名前を呼んでくれるなら、僕がきみを守ってあげる。愛してあげる。幸せにしてあげる。だからね――。
「――カヤ」
 たとえ世界がこのまま、まるきりうつくしくないのだとしても、僕はそんなこと、ちっともかまわない。



楽園を灼く




 僕が王様になったなら、きみは、女王様になるんだよ。










『Lavender's blue, diddle, diddle, Lavender's green; When I am king, diddle, diddle, You shall be queen.』は、マザーグースの詩です。カヤ兄は妹にナーサリーライムの絵本を読んであげてた、原語で。病んでさえなければいいお兄ちゃん、病んでさえなければ。大事なことなので二回。(は、もう古いのかなあ?)

しかし、お題で書いたSSに既存の詩を突っ込むとか、大丈夫かな……汗々。マザーグース、好きなのです、意味はわからないけど、意味わからないまま雰囲気と音律だけ感じとって読むのが好きです。



ちなみに、アキちゃんは小さい頃はカヤ兄があんな感じでお部屋のなかで育ったので、語彙もホントに少なくて、カヤ兄やサーシャお兄ちゃんは、そのまま「カヤ」「サーシャ」って呼び捨てでした。お兄ちゃん、とか、お兄様とか呼ばない感じです。


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Comments

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ミズマ。 : URL

2012.09.29 Sat 19:44

目に映る世界が美しいけれど病んでいるってのは、良いですねぇ(*^_^*)

>凝りもせず部屋を出て
カヤ兄が閉じようとしている美しくて完璧な世界から、懲りずに何度もそこから出て行こうとするアキちゃん。
イクヤさんもサキさんと二人だけの世界で生きていこうとして、二人はそこから出ることなく、他者の干渉でその世界は壊れた、とかと考えると、アキちゃんはこのお話の中でメインのヒロインたる強さというか資質?を最初から持ち合わせていたのだなぁ、と、なんとなーく思いました。

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2012.09.29 Sat 23:10

お姉さま
良いですねー、視覚的に美しければ美しいほど良いです(*´꒳`*)
お母さんがいなくなって、カヤ兄にお世話されはじめた頃のアキちゃんは、わりと頻繁に脱走してはいじめられて泣いてるところをカヤ兄に回収されて、お外はこわいようダメだようこわいんだよう、って、ずーっと言われ続けた結果、その後、サーシャお兄ちゃんがやってくる頃にはお部屋から出たがらないお人形みたいな子になって、ます。じつは……カヤ兄の調教こぇえええええっil||li(つд-。)il||li(オイ言い方、
もう一度外へ出るきっかけはサーシャお兄ちゃんが与えてくれたけど、そこから先は、アキちゃんにもともとあった外に向かう資質が息を吹き返したのだろうなあ――と、お姉さまのコメを拝見して思う今日この頃。

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