Aries.

Home > 小話 > 闇の眷族、みたいな、恋バナとチャーハン。

2012.11.25 Sun 闇の眷族、みたいな、恋バナとチャーハン。

本当は7ページ分くらいでもっとちゃんと書くつもりだったけど、卯月ぶっちゃけそれどころではない状態なので短めで、でも書いた!←

追記からどーん。

ちなみにちなみに、お姉さまがカイユリでおとしまえ編その後の話を書いてくださっているので、そちらもぜひどうぞ! ヒロくんがんばれ!(笑)








(――男でも、女でもあるのに、どちらの役にも立たないなんて)
(なんて、だめな子)
 種が使い物にならないことは、早いうちから分かっていたらしい。
 それでも残る望みをかけ、女の名前をつけて育てた子どもが畑にもならないと知れるや、母親はそう言って、我が子への関心をなくした。いくつの頃だったか。それからはひたすらに屈辱を受けるだけの歳月だった。
 血族の異能を使えもしないくせに、ただその血を遺せるというだけで、俺を嘲弄し、辱めた能無しども!
 男も女も、貴様らの種と畑から生まれる子どもは皆くびり殺して、目の前で木偶人形のように踊らせてやる――と。
 あの頃は、そんないつかの報復だけを楽しみに生きていたのに。
「俺にもそろそろ清楚で可憐で健気で一途で素敵な女性が現れないだろうかっ!? なあ、同志!」
 俺に訊くな。
 人類解放戦線、暁の団の隠れ家のひとつ――と言っても、結局のところクルルギが賃貸している安普請のアパートの一室。海外工場で大量生産され、量販店で捌かれてきた雑なつくりの家具に囲まれて、クルルギは恥ずかしげもなくそんなことを言う。
 地祇総領に取り入るため、手土産になりそうなアムリタの小娘と生太刀を狙って襲撃をかけ、失敗したあの日以来、この馬鹿はひまさえあればこんなふうに夢見がちな世迷言を口走っていた。
 成人して数年経つというが、そのわりに女っ気もなく日々「正義の味方」に勤しむ男の目には、生太刀を庇って立った血混じりの小娘が敬虔なマドンナのようにでも映ったらしい。
 あの場に置き去りにしてきたお仲間の同志を、天羅が数日と待たせず解放したことも――実際には、俺の異能に操られたことで満身創痍になっていたから、天羅の息がかかった一般の総合病院に入院している状態での『解放』だったが――、高評価を得る要因になっていた。おかげで、あの連中はもうすっかり、クルルギにとって「善い吸血鬼」という位置づけだ。
 俺にとってはやりづらいことこの上ない。
 屈辱に耐え続けてきた年月を、ささいなことから一時の激情に任せて血族を飛び出し、はぐれたことでふいにした。その失敗を、よその血族で確固たる地位を築いて挽回しようという計画も、これでまたしばらく長引くだろう。クルルギは馬鹿だから騙すのは簡単だが、馬鹿ゆえに一度信じ込んだものを滅多なことでは疑わない。
 アムリタの小娘や生太刀を襲わせるのは、おそらくもう無理だろう。
 馬鹿な人間の分際で、クルルギはじつに面倒な男だ。
 俺がねぐらや血(しょくじ)に事欠くはぐれ者でなければ、こんな馬鹿など相手にすることもないのに。血に飢えて気が触れそうだった時にたまたま出会った人間が血の気の多い特殊な馬鹿で、嘘いつわりない身の上話を憐れんで気前よくねぐらと食事を提供してきたのは俺の天運のたまものだ。クルルギも「正義の味方」らしい自分の行いに満足しているのだから、感謝はしない。
 だいたい、クルルギの血は苦いのだ。
 何をどうして人間の血がこれほど不味くなるのか、四代前までさかのぼっても人間だというわりに純血並みの力場を使ってみせることと関係あるにせよ、ないにせよ、鬼神の血族のアムリタに生まれていたなら即刻打ち殺されても仕方ないくらいひどい味のする血を文句も言わずに飲んでやっているのだか、むしろ感謝されていいはずだ。
 それを、この男――。
「あの乙女の名前を、もっとよく聞いておくのだった。何度か呼ばれていたはずなのに。銀髪の男にはチビなんていわれていたから、見た目のとおりまだ子どもなのかもしれんが、か弱い女性の身でありながら仲間を守ろうとした、あれこそが真の献身! 愛と勇気! まさに大和撫子のあるべき姿だ! なあ、同志!」
 だから、俺に訊くな。馬鹿め。脳みそを腐らせてくたばれ。
 そう言ってやりたいのをぐっとこらえ、そうだな、まったくだ、と適当な返事ににこやかな表情を添えてやった。正直、なにが「まったく」「そう」なのか、自分でも理解不能すぎて笑えてくる。あんな血混じりのどこがいいのか。
 俺なら、血混じりよりも、アムリタがいい。
 あの小娘がいい。
 思い出しただけで口のなかに唾が湧き出るほど、濃く甘い血の匂い。喰われるしか能のない人間らしく、護衛のかげに隠れて泣きそうに竦んでいるばかりかと思っていたら、最後の最後に反撃してきた。バカバカバカ。ひとを罵る言葉もろくに知らないで、愛されて、守られて、本当に自分が傷つけられることがあるなどと考えてもいなかったはずの、馬鹿な子ども。
 あれに何もかも教えてやって、傷つけて泣き叫ばせて、俺に喰われたいのだと身も世もなく悶え、可愛がられて喜ぶようにしつけられたら最高だ。総領がとっておきにしている極上のアムリタを俺のものに――そう、考えただけでゾクゾクする。
 あれが手に入ったら、挨拶代りに地祇にでもくれてやろうと思ったが、もうそんなことは考えられない。どうにかして。
 どうにかして、あのアムリタを手に入れたい。
 しかし、もう先日のように力づくでは無理なのだ。下手なことをして、クルルギに不審がられては元も子もない。ねぐらと食事の引き換えに、俺はクルルギにとって「善い吸血鬼」でなければならないのだから。
 じつに面倒な男だ、クルルギめ。
「あああああああっ! 俺にも! はやく! 愛すべき乙女が現れないものかあ!」
「――ごはんっ、」
 両手を突き上げて叫ぶクルルギの前、安っぽいラグにおかれた安っぽい座卓に、出来立てのチャーハンを盛った皿を叩きつけるように置いた。ゴッ、といい音がする。店内全品ワンコインの店で買った陶器の皿はそれなりに丈夫で割れなかった。
 クルルギがきょとんとしているあいだに、自分の皿と、コップと、水を用意して、前掛けを外してからスプーンを持って座卓についた。
「同志」
「なんだ」
 手を合わせて食べ始めた俺に、クルルギは真顔で言う。
「俺はピーマンが食えん」
「……、俺の皿によけていいぞ」
「ありがたい!」
 いただきます! と、子どもじみた満面の笑みで言うなりせっせとピーマンを移動させるクルルギの姿に頭が痛んだ。人間のなかでもこの男は重度の馬鹿だ。絶対にそうだ。俺のまえで女の話ばかりして、なんと答えればいい。抱かれてやろうかと言えばいいのか? 度し難い馬鹿め。
 計画が狂ったのも、俺が人間のために食事などつくっているのも、頭痛でいらいらするのも全部この男のせいだ。面倒な奴。
 貴様はおとなしくピーマン抜きのチャーハンでも食ってろ。
 俺のまえで、女の話などするな。










というわけで、ジンホァさんはつまるところふたなry(←

ジンホァさんにはクルルギさんと友情と愛情を足して割ったくらいの感じで仲良くしてもらうはずだったのに、あれぇえええこの人いつのまにかユリちゃんをロックオンしてるよあれぇえええ!? なので、ジンホァさんは今後、ユリちゃんのストーカーみたいになればいいと思います。善玉stk。あんなこと言ってるけど、この人たぶんそんなにひどいことはできないと思う。やり方は知ってるけど。しないんじゃないかなー。

書いてみたらジンホァさんはものすごいツンデレでした。

結局なんやかんや言って無意識にユリちゃんが好いてくれそうな感じにふるまいそう。クルルギさんに対してもそんなふうだし。そのうちユリちゃんの下校を校門で待つようになればいいよ! 迎えに来たカイさんと鉢合わせて火花を散らせばいいと思うよ! 始祖血統の総領クラスと純々血の異能使いに両サイド挟まれてもユリちゃんはきっとどんだけのことかよくわからなくて「もーっ、ケンカしないー!」って言えばおさまる程度だと思うだろうし実際おさまるだろうけど、女の子ひとりにつく護衛としては破格すぎて一般同族ならブルッて腰を抜かすレベル。ユリちゃんもヒロインなのでこれくらい守られてもいいと思う。ていうか、このくらい守られてないとチートが跋扈する卯月のお話世界でヒロインをやるのはたいへん危険です。←

ジンホァさん、ちなみに腰から上は男にしてはちょっと貧弱で女なら絶望的なまな板っていうぺたっとした体形なので、全体的には華奢な感じ。鬼神にいたときは女の格好させられてることが多かったから筋肉つける隙がなかった。けど、男の服が似合うようになりたくて、クルルギさんの筋トレグッズでさりげにダンベル上げとかしてると可愛い。

総合して、卯月はジンホァさんが大好きなんですよ、っていう。性別曖昧萌えとツンデレ萌え。

クルルギさんは、見たままそのままの厨二キャラだから説明は不要な気がしなくもない(笑) ゴウダ並みの体格の筋肉要員。100%善人だけど、ひとの話をあまり聞いてない善人。空気を読む能力もめちゃくちゃ低い。剣道の心得とかはまったくなくて、木刀はただ振り回してるだけだけど、あれがないと力場を上手に使えないからわりと重要なアイテム。なにも持ってない状態だと、自分を中心に全方位に向けて力場を波状に広げてぶつけるしかできないから、敵も味方もあったもんじゃない、という。木刀は「これを振った方向に力場を飛ばす」っていうイメージの精度を上げるための照準器、みたいな。なので、まあ、べつに木刀じゃなくても指揮棒でもお玉でも振り回せるものならなんでもよかったりするのですけども(笑)

子どもの頃からなんでか力場が使えて、それでこわがられたり気味悪がられたりして、わりと寂しい幼少期を過ごしたりもしていたクルルギさん。でも、お母さんは優しかったし、お父さんも昔気質の頑固だけどしっかりした人で、拗ねたりグレたりすることもなくどうにかして自分の体質とうまく折り合いを付けていこう――と、思いながら育った中学二年の頃、あるヒーロー物の映画を見て目覚める。そうだ、俺もヒーローになればいいんじゃないか! ヒーローならたとえビルをぶっ壊しても最終的にみんなに感謝されるし愛されるじゃないか! と。

そして洋画ヒーローのお約束に従って、表向きは地味な会社員、真の姿は吸血鬼ハンターの正義の味方になりました、というのが、クルルギさんです!(どどーん)

幼少期の境遇はだいたいゴウダと同じはずなのに、ゴウダとは真逆の方向に解決策を見出したクルルギさんのこと、ゴウダぜったい苦手だよなあ、と、思わなくもない。でもクルルギさん空気読めないから普通になれなれしくしそうで、ゴウダはたぶんビビッて涙目になるなあ、とw

クルルギさんはなんとなく二十代前半のイメージ。ジンホァさんも同じくらいなんじゃないかなあ、じつはけっこう若いふたり。ジンホァさんはたぶん三十過ぎるくらいまで老化は止まらないと思う。

暁の団の二人組については、またそのうち小話を書きたいなあ。


関連記事
スポンサーサイト



Comments

name
comment
ミズマ。 : URL

2012.11.26 Mon 23:11

ユリちゃん、ロックオンされてるし!!?

いやあ、クルルギさん良いなぁ、クルルギさん。良い馬鹿ですね、良い馬鹿。良馬鹿。←
彼、会社の上司も扱いに困ってるでしょうねぇ。でも押しは強そうなので営業(だとしたら、だけど)の成績は良さそうだし、ミスしても本気の全力で挽回してくれるので顧客満足度も高そう。ただ、ウザいだけで(^_^;)

ジンホァさん、おとしまえ編では「ぎりィッ!」って思いながら読んでいたのですけれど、この話でちょっとイメージが変わりました。へー、ツンデレかぁ! クルルギさんとラブラブみたくなれば良いのになぁ。ジンホァさんの生い立ち知ったらがっつり同情しそうなクルルギさん。でもそれが嫌でジンホァさんはクルルギさんから離れるけど、草の根分けてまで探し出すクルルギさんの様子が目に浮かびます。
敵に回すより、味方にした方がやっかいなクルルギさん、とても良い馬鹿だよね!!!ヽ( ´ ∇ ` )ノ

そしてロックオン固定されたユリちゃんですけど、彼女、あれでジンホァさんに何回か助けられたらすっかり信用しそうですな。街で会ったら手ぇ振ったりとか、もらったお菓子あげたりとか、夕飯に招待……する? カイさんはキッチン壊された恨みがあるからなァ(^_^;) 嫌味で追い返そうとするけど、その場にクルルギさんがいたら嫌味は通用するわけないので、カイさんユリちゃん、ジンホァさんにクルルギさんで一緒に夕飯食べてそうで、想像できてしまって怖いw楽しいwww

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2012.11.27 Tue 22:50

お姉さま
ジンホァさん、登場した時にはクルルギさんの相方として、それなりにいい雰囲気になる予定だったんですけれど……ユリちゃん無双にキュンときてたみたいです(笑)

営業のクルルギさん、いいですねー! 会社勤めver.はなぜか伊達眼鏡装着してるクルルギさんですが、たぶんしょっちゅうレンズ曇ってるんだろうなあw ものすごく真剣に真面目に全力投球してくれて顧客満足度も高いけど扱いにくい上にものすごくウザい部下、微妙すぎてw 上司のひとがんばってwww クルルギさんのお昼のお弁当は、たまにジンホァさんが作ってあげたりしてそうなので、同僚には彼女がいるのかなー? いそうにないんだけどなー? とか、思われてそうです。

おとしまえ編を書きながら、お姉さまのカイさん過去話を拝見していたら、もしかしてジンホァさんってクウちゃんと気が合うんじゃないかなー? とか、思ったのですが、どうでしょう? ふたりとも、あの時の遺恨覚えたるかあ!みたいな、いつか偉くなって見返してやるし仕返しもするぜー!みたいな感じが、似てないかなあと。逆に反発しあいそうかも? そして血統主義のジンホァさんは眷属まじりのクウちゃんのこと見下しそうだから、やっぱり気は合わないかもしれない(笑)

>彼女、あれでジンホァさんに何回か助けられたらすっかり信用しそう
そうなのですよ、卯月のなかでユリちゃんはめちゃくちゃ包容力が高いイメージなので、ジンホァさんのこともしばらくすれば受け入れてくれるのではないかな!と。それで、ユリちゃんに合わせてるうちに、ジンホァさんに一般的なお付き合いの仕方、っていうか、円満な対人関係の築き方みたいなものが身についてくればいいなあ、と思います! 卯月のなかで、ユリちゃんのポジションはどうも「ズレぎみの吸血鬼にひと並みの価値観を教えてくれる子」になってるみたい、です。こんな認識でも大丈夫でしょうか?^-^;

>カイさんユリちゃん、ジンホァさんにクルルギさんで一緒に夕飯食べてそう
空気の読めないクルルギさんが、カイさんの料理を素直に褒めちぎるので、日ごろお料理担当になることの多いジンホァさんがだんだん不機嫌になってくればいいと思いますwwwww で、カイさんとジンホァさんで嫌味の押収がはじまるけど、クルルギさんは安定の空気読めなさで、ユリちゃんはずっと笑っていそうな気がして、こわいけど楽しいwwwww

comment form

Trackback

FC2Blog User

  1. Trackback