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2013.01.19 Sat 闇の眷族、みたいな――十八番目の子供。

歌さまのお題サイト50題に挑戦、しかしまずこちらを読まなければ状況が解せぬ仕様щ(゚▽゚щ)ヌハッw









「だーれだ?」
 そういや今年の正月にゃ、この遊びが大流行だったな。
 夕飯の仕込みが終わってひと息、とソファに落ち着いたところ、すかさず背後から目元を覆い隠され、カイは騒がしかった正月三が日を思い出した。この家に帰省してくる人数は着々と増えている。新たに加わった赤ん坊が、上の子どもたちといっしょにドタドタ走り回るようになるのもあっという間にちがいない。
「ねえねえ、カイ、だーれーだ?」
「あァ?」
「だーれだ?」
 しびれが切れそうなのか、どんっどんっ、と飛び跳ねて床を叩く足音にカイは面倒そうに舌打ちする。だれだも何も、遠方からの正月客が帰ったいま、ここに出入りするメンツなどは知れている。入り浸りの子どもとなれば、なおのこと。
(けど、こりゃ答えるまでずっとこの調子だな……)
 小さなてのひらがつくる、子どもじみた体温のこもるあたたかい闇のなかで、カイは眉間を寄せながら観念した。
「あー、じゃあ、てめェはアレだ……ユリの末っ子の、孫ンとこの、」
「ぶっぶー!」
 耳元で張り上げられた加減のない大声に、カイは思わず首をすくめる。
「ッて! 耳の近くででけェ声出すンじゃねえよ、ビビるだろうが、人間相手なら下手すッと鼓膜破れンぞっ?」
「だって、ちがうもん」
「違ェって――」
 目を覆い隠す小さな手を、片手でまとめて引きおろしながら、カイはソファ越しに背後をかえりみた。背後には当然、まちがえようのない子どもの姿がある。
「あってンだろォが。てめェ、ユリの末っ子の孫ンとこのガキじゃねェか」
 かつて、カイが保護者として世話をしていた少女は、真っ白なウエディングドレスを着てバージンロードを歩いたあの晴れの日の宣言どおり、たくさんの子どもに恵まれた。
 おかげで、いまや盆暮れ正月に一族郎党がこの家に打ち揃えば足の踏み場も座る場所もなくなるありさまだが、子どもが生まれるごと子守りを任されてきたカイは、血筋の子どもはだれがだれだか、しっかり把握している自信がある。たとえ「ものすごくおっきな若じいちゃん」などと、意味の分からない呼ばれ方をするようになっているのだとしても、子どもの顔を見分けられなくなるほど耄碌する歳ではないのだ。まだ。
 吸血鬼、などと呼ばれもする、同族の寿命は人間のそれよりもはるかに長い。
 その長い一生のなかの、またたく間ほどのひと時をともに過ごした少女のことも、カイははっきり覚えている。
 だから、いま、ソファの後ろで不服そうに口を尖らせている子どもが彼女にそっくりだということに、真っ先に気づいたのもカイだった。黒くやわらかな髪を長く伸ばして、まるい額を見せつけるように前髪を上げていると、なおさら似ている。血筋ッてのはこわいもんだ、と思わせる。
(俺がユリに会った時にゃ、もうコイツより育ってたが――)
(ユリがチビのガキん頃はこんなだったかも知れねェ)
 カイの頭の片隅をよぎる、そんな思考を読むかのごとく。
「――ランちゃんだもん」
 ぶぅっと、むくれっつらの子どもが言った。
 面食らったように目を瞬かせるカイを見上げながら、やわらかな眉間にしわをよせ、くちびるをますます尖らせて、さらに。
「カイは、どおしてみんな、ユリのって言うの? ユリのって」
「どうって……てめェの親父のおふくろのおふくろのおふくろが、ユリだからだ。知ってるか? ユリはてめェのひいひいバアさんで、」
「でも、わたし、ランちゃんだもん」
 カイの言葉をさえぎって言い募る。子どもの目にはじんわりと涙がたまっていた。
「ユリのじゃないもん……」
 ちがうもん、としつこいくらいに繰り返す。ずいぶん拗ねた声だった。
 カイは視線だけで天井を仰ぎ見る。
(おいおい……)
(なんッか、ややこしいことになンじゃねェのか? これ……つか、コイツ去年小学校に上がったばっかじゃなかったか? マジか? 冗談じゃねェぞ……?)
 ランドセルを買ってやった記憶が確かなら、近頃の子どもはずいぶんマセていることになる。いっちょまえにマセすぎだ。いやいや、むしろこんなションベンくせェチビガキ相手に勘繰る俺がおかしいのか――?
 カイは天井を見上げたまま、しばらく懊悩し、そして嘆息した。
「――ラン」
「う?」
 呼びかけると、間抜けな声をもらしながら子どもが顔を上げた。きょとんとして、目をぱちぱちさせる。
 その拍子にぽろっとこぼれた涙を、カイは手のひらで拭ってやりながら言った。
「晩飯は、ハンバーグと、ポテトサラダと、味噌汁の予定なンだが」
「う?」
「気が向いたンでケーキもつける」
 ふへっ、と、子どもが笑った。
 こんなトコまでそっくりじゃねェか、とカイはこっそりため息を吐く。けれど、あまり深く考えてるとまたしても気取られてヘソを曲げられそうで、誤魔化すようにうなじのあたりを掻きながら立ち上がった。
 するとすぐ、足元に子どもがまとわりついてくる。
 身長が足りない分、もどかしそうにぴょんぴょん跳ねるちいさな体。何の気なくその頭を撫でてやれば、きゃあきゃあ声を上げながら、腰のあたりにしがみついてくる。ちょっとしたことで感情が振り切れる子どもの相手もずいぶん慣れた。
「てめェも手伝うンだぜ、ラン。出来るか?」
「できるよー!」
 わたしおおきくなったらカイとコックさんをするの、なんて言われりゃ、ま、悪い気はしねェよ。





(――私の子供たちはカイが大好き)
(ずーっと、ずーっと、カイとずっと一緒にいるの)










というわけで、お姉さまがお書きになった「結局カイさんとユリちゃんが結ばれないお話」に勝手に乗っかってみたぞ、と、わぁ―――ヽ(●´∀`)○´∀`)ノ―――ぃ!!←

特典ファンディスクとかに収録されてそうなカイユリのラストに出てきていた女の子とカイさんを想像してたら、卯月のお兄さん×幼女萌えセンサーがキュンキュンしはじめてとどまるところを知らず! なのでユリちゃんの子孫の女の子が明らかにお姉さまのお話で登場した時より幼くなっているのはすべて卯月のせいです。だって! 幼女が! よかったんだものっ( ゚Д゚)!!※声を大にして言うことではない。

このあとも彼女はカイさんチに入り浸り続けて、中学生くらいになって、そして「カイー! ほら、起きて、起きて! 今日はお仕事あるんでしょ!」につながると思っていただければありがたいような気がしなくもない、ていうか言い訳をするべき点はもっとたくさんむしろ徹頭徹尾言い訳するポイントだらけなんですけども。女の子の名前を勝手につけてすみませんorz とか。カイさんが若干枯れはじめててごめんなさいorz とか。いやそれがどうも途中からお兄さん×幼女萌えにご老体萌えも加味されてカイさんがおちついてきちゃって「ワイルドぉおおおおお、どこぉおおおおおお!?」てなったり、とか……。

でも書いた!ヾ(´∀`*)ノ←

そんな感じに卯月はたいへん楽しかったのです! ありがとうございます、お姉さま! そして完璧な事後報告ですみません「これはねェよ!」ってとこがあったら修正しますので、どしどし言いつけてくださいm(_ _*)m



if世界で、ユリちゃんの一族に囲まれて騒がしいけどまんざらでもないカイさんを想像すると至福の心地です。


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Comments

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ミズマ。 : URL

2013.01.20 Sun 01:31

ランちゃんがぶすっとしながら涙こらえて「違うもん……」って言っている様子を想像すると、転げまわりたくなるぐらいにかわいいッ!!!キャー ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 キャー
それを「あー……」と嘆息しながらやれやれと思ってるカイさん(枯れ気味)が添えられると更に萌える。倍率ドン!なぐらいにぐう萌える……ッ!!! 幼女!幼女! 幼女は正義だッ!!!ヘ( ̄▽ ̄*)ノ・ ・.♪ヒャッホーイ♪.・ ・ヾ(* ̄▽ ̄)ノ
ワイルド属性枯れ気味オカン風味のカイさん()には幼女が良く似合う/// 幸せ///

ずっと「ユリの」って言い続けてるとこが、なんというか非常にカイさんだなぁ。大正・明治の男という感じがして非常に良いですね、うん。操を立ててるというかw
ってか、ランドセル買ってんだ、カイさんwww どれだけ実家扱いされてんのよ、カイさんwww

いやー、楽しかったです。ランちゃんかわいいよ、ランちゃん!
また、書いてくれたってイイんだからねッ!←

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.01.21 Mon 08:28

お姉さま
カイさんの属性が順調に増えているwwwww
カッコイイお兄さんと幼女の組み合わせは正義ですよね!キャー ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 キャー 幼女だけでなく、もうユリちゃんの子孫に囲まれてベビーシッター(笑)してるカイさんを想像するとニマニマがとまりません/// カイさん! かなりすごい血統の吸血鬼なのに! 子守りさせるユリちゃんの一族パネェ!www
>ユリの
子どもの名前はみんな覚えてるけど、ていうかもしかすると何人かはカイさんがつけたのかもしれないけれど、あたまのなかではつねに「ユリの何番目の子孫の誰々」みたいな認識になってるんじゃないかなあ、という気がして。律儀に操を立てる見た目肉食ワイルド、萌えます(*ノωノ)///
>ランドセル
あとお雛様とかこいのぼりとか武者飾りとかそういうのも買ってあげていればいいなと思います!(笑)
>また、書いてくれたってイイんだからねッ!←
すみませんまたやらかしました←

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