Aries.

Home > 小話 > 50題 > 闇の眷族、みたいな――十八番目の子供。 その3

2013.01.21 Mon 闇の眷族、みたいな――十八番目の子供。 その3

歌さまのお題サイト50題に挑戦、そしてまずこちらを読まなければ状況が解せぬ仕様の小話はこれで最後です。卯月の暴挙もさすがにここまで!(遅ェよ)










「――だから、私言ってやったの。アンタが私のおじさんよりカッコ良くて、おじさんより背が高くて、おじさんよりケンカが強くて、おじさんより口が悪くて、でもおじさんより優しくて、それからおじさんより料理が上手で、あとこれは絶対に必須なんだけど私のすごくカッコ良くて背が高くてケンカが強くて口も悪くてでもとびきり優しくて料理がめちゃくちゃ上手なおじさんより年上だったら、付き合ってあげてもいいよ、って」
「ランちゃんは鬼や」
「コウくんには負けるぅー」
 昼休憩。
 伝統的に惣菜パンの品ぞろえが豊富すぎる校内売店のパンを山盛りに積み上げた机を真ん中に置いて、幼馴染のランとコウタローは互いの顔を真っ向から見つめ、同時ににっこり笑った。一見、なごやかな様子だが、じつは一触即発の雰囲気である。
 しばし静かに見つめ合い、またしても同時に、視線を外してパンの山へ手を伸ばす。適当に掴み取ったものの包みをばりばり開き、豪快にかじりついてもそもそ咀嚼しはじめた。
「コウくんはいいよねえ」
「なにが」
「牙。噛みやすそう。食べるの早いじゃん」
「ランちゃんかて犬歯があるやろ。いっしょや。そない違うことない」
「やだーっ、私も牙ほしい、カイとお揃いのがほしいーっ」
「ランちゃんは勉強できるのにどないしてこないアホなんやろなあ?」
「コウくんは眼鏡かけてるのにどうして赤点なのかなー?」
 新しいパンの包みを引き裂いてコウタローが顔を上げる。
 ボンゴレロッソパンの残りを丸呑みにしたランも顔を上げ、またしてもどちらからともなく笑いかけた。昼休みのにぎやかな教室の片隅で、静かに、火花の散る音がする。
「ランちゃん、ええ加減あきらめたらどないや? カイさんはランちゃんみたァなの好みとちゃうやろし。ぜったい迷惑してはるし。たとえ明日世界が終ってまうことになったかて、両想いにはなれんやろ。――潔う観念せえ」
「コウくんこそ観念して、昨日昇降口で告白してくれた子とでも付き合えばいいんじゃなーい? コウくんがそのへったくそなエセ関西弁でいくらがんばっても、リサおばさんはぜっっったい振り向いてくれないよ? ていうか私とカイに血縁はないけど、コウくんとリサおばさん、おばあちゃんと孫じゃない。ムリ。法的にもムリ。――あきらめれば?」
「おばあちゃんより美人がいてたら観念したるわボケ」
「私だってカイより素敵なだれかがいればあきらめるわダ眼鏡」
 しばし、睨み合うふたり。
 そしてため息。
「……コウくん、今日はどこに呼び出されたの?」
「図書室。先輩や。――ランちゃんは」
「今日は私が昇降口、A組のヒラサカくん……面倒くさい」
「そのまえにたぶん、廊下でC組のセガワに捕まるで。もしくはユキタニ」
「面倒くさい……」
「俺も」
 沈痛な面持ちで総菜パンを食べ続けるふたり。
 机のうえのパンの山が、その嵩を半分ほどにした頃、あっ――と声を上げてランが顔を上げた。つられて視線を上向けるコウタローの顔を、身を乗り出してのぞき込む。
 その目が妙にきらきらしていたので、ランちゃんろくなこと言わんのやろな、とコウタローは思ったがまさにそのとおりだった。
「私たち付き合おうよ!」
「俺おばあちゃんより美人がええて言うたやろ聞けやデコ」
「私だってカイより素敵なひとがいいって言ったでしょ、本気にしないで、付き合ってるふりするだけ!」
「ふり?」
「私の彼氏がコウくんで、コウくんの彼女が私、ってことにしておくの」
 そうすれば虫よけになると思う!
 そう言って、頬を紅潮させながらマーボー豆腐パンにかぶりつくランを、コウタローは真正面からまじまじと見つめた。
「……ランちゃん」
「う?」
 パンをくわえたまま首をかしげるランに、コウタローが言う。
「アホボケ言うて悪かったわ、ホンマ……名案や。ランちゃん天才や」
「れひょー!?」
 パンのかけらが飛んできてもコウタローは気にしなかった。こくこく何度もうなずきながら、惣菜パンをあっというまに三つ四つ腹におさめていく。ランも、自分のあまりにも冴えわたる機転に興奮して、つぎからつぎにパンを消化していった。
 そして――。
 残る最後のひとつ、イナゴの佃煮パンに、ふたりの手が同時にかかる。
 顔を上げ、目を見交わし、互いににっこり微笑んで。
「コウくん」
「ランちゃん」
 どこかで窓ガラスの割れる音がした。
 一触即発である。










コウタローはお察しのとおり、カネダ先生とヴァシリーサさんの子どもの子どもです。もちろんここはif世界なので、実際あのふたりに子どもができるかどうかはさておき、この世界ではこんな感じ。ってことで。カネダ先生はすでに鬼籍のひとだけれど、ヴァシリーサさんは健在で、コウタローはおばあちゃんっ子こじらせた変化球の熟女好きだと楽しいような気がする! if世界だと思って、卯月、やりたい放題だな!щ(゚▽゚щ)フハハッ

ユリちゃん似のランちゃんはきっと正統派美少女でモテてるんだろうけど、コウタローはとくにものすごくカッコイイってこともなくて、ただただ、吸血してない状態でも例の恍惚作用のある何かがちょーっとだけつねに垂れ流しになってる体質で、それがフェロモンになってて妙にモテまくる、とか、そういう。なので女の子だけじゃなくたまにノンケ男子からも告白されてたりする。もちろんそのケの男子からも告白される。俺どないしたらええのやランちゃんとか弱音を吐いてぐったりするコウタローを笑い飛ばすのがランちゃん。

とかいろいろ妄想をふくらませてウハウハの卯月でした! 好き勝手してすみませんでしたお姉さま! 楽しかったですありがとうございますっ!<(_ _*)>


関連記事
スポンサーサイト



Comments

name
comment
レルバル : URL

2013.01.21 Mon 12:52

三つ……連続でだと……?

くっ……ねーたん、こんなところでなんて力を……!

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.01.21 Mon 21:40

ルル
フッ……お姉ちゃんが本気を出せば、このくらい(*`・ω・´)ドヤァッ
(と、言いつついつこの書ける期が去っていくのかと戦々恐々とする日々;;;)

ミズマ。 : URL

2013.01.21 Mon 23:55

>伝統的に惣菜パンの品ぞろえが豊富すぎる校内売店
今回一番感動したのがここなんだけどもw しょうもない設定を拾ってくれてありがとう、朔ちゃんヽ( ´ ∇ ` )ノ 数十年後にもまだあるのか、この学校の売店よwww でもイナゴの佃煮は勘弁して……orz

コウタローくんかわいいいぃぃぃぃぃ!!! ストライクだよ、朔ちゃん!!! でもリサさんに振られて大人の階段を切ないのを登るといいと思うよwww

この二人、おバカの子だなぁ。かわいいなぁ(((*´ε` *)(* ´З`*))) とてもいいなぁ、この二人。この二人が馬鹿みたいに毎日買っていくから、購買のパンはまた種類を増やしているんだろうなぁ。売店のおばちゃんの意地だよなぁ。←またそこか

いやー、if世界は楽しいですねぇ! やって良かったファンディスク! また考えよう、if世界ヘ( ̄▽ ̄*)ノ・ ・.♪ヒャッホーイ♪.・ ・ヾ(* ̄▽ ̄)ノ

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.01.22 Tue 21:56

お姉さま
>惣菜パンの品ぞろえ
この設定はしょうもなくなどないですよ、お姉さま! これさえ書いておけばわかる人には一発でランちゃんの学校がユリちゃんの学校と同じだとわかるし、わからない人にも「変な学校だなあ」と無意識に背景を濃く印象付けることのできる、素敵設定じゃないですか! 卯月こういう設定拾うの好きなのでガンガンレシーブしますщ(゚▽゚щ)オリャッ そして売店の総菜パンこの数十年間だれも制止かけなかった模様www

>大人の階段
コウタローにラブコールありがとうございます! ええ、それはもう、彼は大人の階段を切なくのぼる運命です。恋した瞬間から決定事項です。ヴァシリーサさんに振られても、かといってランちゃんとの恋愛がはじまることもまずなさそうなコウタロー。涙の数だけ強くなれ!(笑)

>ランちゃんとコウタロー
おまえらどんだけ総菜パン食べてんだよと思いましたけど、ふたりともものすごく食べる子っぽいので、売店のおばちゃんは作り甲斐もあるでしょうwww ふたり、こんな感じになんやかんやでずっとダチ友でいればいいなあ、と思います。たぶんランちゃんがナンパとかされたらコウタローがおっぱらってそうな雰囲気。コウタローは眷属まじりの純血同族なので、見た目華奢な草食眼鏡だけど、同年代のだれとケンカしてもおそらく負けないかなー、みたいな。

>ファンディスク
好き放題遊ばせていただてありがとうございましたっ!(*´∀`*)ムハーッv ていうかお姉さまの発言は、卯月、言質をとったと思ってよろしいですかよろしいですね 待 っ て ま す !ヽ(●´∀`)○´∀`)ノワーイ☆←

comment form

Trackback

FC2Blog User

  1. Trackback