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2013.03.20 Wed 闇の眷族、みたいな――埋没する世界の中で。 その13

歌さまのお題サイト50題に挑戦、「雨の日に猫を拾った話」今回はそんなに痛くない、はず。









 生太刀があらゆる異能を封殺するなら、万禍識はその例外だ。
 無敵と呼ばれる生太刀の同族殺しが通用しない唯一の存在。そのうえ、大始祖直系の総領さえ凌駕する強靭無比の力場を具えた、問答無用の『最強』――ゴウダがこの場にやって来た。
 この子の勝ちだ。
「死にてェだァ……? なら遠慮なくぶッ殺してやンよォッ!!」
 先刻、出会いがしらに力場で圧倒された女が声を荒げる。さっきまでの遊びを楽しんでいるような余裕は微塵もなかった。だれより強い、ということに矜持を持っているタイプだ。力比べで負けたことが相当頭にきているらしい。
 だが。
「だめだ姐さん! 退こう! そいつは――!」
 切羽詰った男の制止を振り切るように、女の怒号が響く。高まる力場の圧に建物全体が軋みを上げて震えた。霞む視界に映る黒服の背は、それを受けてただ。
 こぶしを振りかぶったようだった。
 ゴウダが吼える。
 獣じみた咆哮を上げ、知らなければそれが人体を殴り飛ばした時に発したものだとわからない音も、女の呻きも、自棄になった男の叫びも銃声も何もかも。事務所を囲む建物がついに耐え切れず崩れれば、落ちてきた鉄骨とコンクリートの天井も、まとめてすべて。
 一切合財、塵芥でも払うように、爆発する力場で四方へ吹き飛ばす。
 あっけないほど一瞬だった。
 同族最強の万禍識――ゴウダを向こうに回せば、勝負なんかは存在しない。
 半壊した工場の、壁も天井もなくなってすっかり風通しの良くなった事務所に佇み、ゴウダは長く息を吐く。鬱々と、昏い怒気を立ち上らせながら。圧倒的な勝利にもひたすら気配を落ち込ませて。
 牙を剥いて唸るように。
「――俺は! こんなことを! したくないんだとッ! 何度言わせれば気が済むんだ、おまえはッ! 俺に! 何度だッ!」
 ゴウダが振り向けば、かろうじて残っている床が聞いたこともないような音で軋んだ。基礎に亀裂が入ったのかもしれない。いまもバキバキとひどくなっているようだ。そのうち床を踏み抜くのか。
「今更になって連絡をよこしてきて、このざまか! 案の定だ! 万禍識(おれ)や生太刀(おまえ)が生きていたところで、良いことなどありはしないんだと! まだわからないのか! 愚かに生きながらえているくせに、俺のいないところで、ひとりで! 勝手に! 死にかけるな! おまえは俺が殺すと言ったぞ! おまえが死にたくなった時は、どこにいようと見つけ出して、俺がおまえをかならず殺す――その前に! 俺は! おまえに! 殺されたいんだからな! 勝手に死ぬな! 死ぬなら俺を殺して死ねッ!」
 あいかわらずめちゃくちゃな言い草だ。万禍識なんて物騒なものに生まれたくせに、おとなしくて繊細で、荒事も本当は怖くて好きじゃないもんから、暴れさせると機嫌の悪くなるところも変わってない。俺がおまえをかならず殺す――と、ゴウダがそんなふうに言い出したのは、いつだったか。
 サキが死んで、俺がめちゃくちゃになって、その時か。
 無敵の生太刀は、けれど、最強の万禍識にだけは、どうしたって敵わない。
 あの時は、だからかならず殺してやると言われて、すこしほっとしたんだ。俺が最悪になるまえに、どうにかしてもらえると思えれば気が楽だった。
 ――けど、今は俺の感傷なんかどうだっていい。
 こいつの機嫌も知ったことか。
「うるせェなあ……っ、てめえっ、来ンのが、遅ェンだよ……こ、の、のろまがっ!」 
 声はかすれて、喉に絡んだ血もごぼごぼ鳴って、ひどい悪態だった。ろくに力の入らない足でゴウダの脛を蹴りつければ、癇癪を起しているゴウダがすこしだけ狼狽えたのがわかる。俺の反応が意外だったか。それとも。
 俺が抱えている子どもの存在を、思い出したのか。
「子どもが、いるから、さっさと来いって……言っただろうが! 遅ェンだよ! くそっ……痛ぇ……ッ」
 追っ手は片付けた。ゴウダが来た。万が一、次があってももうこの子は大丈夫――そう思うと遠退きかけていた身体の痛みが熱を持って手元に戻ってきた。喉に溜まった血を吐き出しても息苦しくなる一方だ。心臓の動きがおかしい。もう一度痛覚が鈍ったら今度はそのまま気を失うだろう、もう目を開けているのもつらかった。
 喉を鳴らしてどうにか呼吸をくりかえしていると、ゴウダの気配からいっきに怒気が失せて、おろおろしはじめる。小動物みたいに。これはこれでうっとうしい。
「あ、そ……すまん、これでも、早く来た、が……すまない。大丈夫か……?」
「これが、大丈夫に、見えンのかっ? むだなこと、しゃべらせンな……心配するなら、俺じゃなくて、」
「この子は。どうした」
「力場で、投げ飛ばされた。壁にぶつかって……それで、それから、動かねェから……」
 あの時は怖じ気るほど軽かったはずのちいさな身体が、いまはずいぶん重く感じる。腕で支える力もなくなって、膝に乗せたまま胸によりかからせ、かろうじて抱えている体裁だ。子どもは身じろぎもしない。体温があるのか、ないのかも、俺にはもうよくわからない。
「ゴウダ、この子、息、してるか……? 生きてるか、ちゃんと、」
 銃撃は喰らわなかったはずだ。背中を打っただけだ。混血なら人間の子どもよりは丈夫なはずだ。きっとちょっと気絶しているだけだ。
 祈るような気持ちで、ゴウダが子どもの様子を看るあいだ、何度も何度もくりかえす。
「――ああ、大丈夫……だ。息をしてる。大丈夫だ。生きている」
「そうか」
 良かった、本当に。良かった。
 思わず子どもを抱きしめていた。腕も身体もまともに動かなくて、背中を丸めただけだけれど。子どもの丸い額に頬を当てると、痛いのも苦しいのもどうだっていい気がした。
 このまま目を閉じて眠ったら気持ちがよさそうだ。
 ずるずると力を抜いてまぶたを閉じかけた。
 それと同時に、頬に触れあった部分から、ぴくりと、子どもの身じろぎが伝わってくる。あ――と、間の抜けたような、ちいさな吐息も聞こえた。
 良かった。
 ただ、もう、よく見えないのが残念だ。
(あんたが優しいんだってわかれば、泣いたりしないから。ほら)
(――笑って)
 左右で瞳の色が違う、あの地祇の目は、この子の目は、いまも俺を見てるだろうか。
「よかったな、おまえ……もう、大丈夫だ、からな――」
 こうしてちゃんと生きている、おまえは運が悪くなんかない。
 だから、きっと、しあわせになれる。

 幸福に生きられる。










とういわけで、うちの可愛い担当、漆黒の妖精、ゴウダはやれば出来過ぎる子! です!(力強く)

イクヤさんと違って、ゴウダは万全の状態なのでね、つねに無双。揺るぎなきチート。でもフェアリー。そんな感じ。ちなみに、ミズマ。お姉さまに作ってもらった設定だと、全身の形状を変える形態変化後は着衣無し、に、なるはずなのですがさすがにマッパは、ね! ヤバいからね! というわけで靄になってたゴウダはなんかこう超SF的な原理によって形態変化後も着衣有りでした! 卯月が言うSFは「すこし・ファンタジー」の略だよ☆

15回じゃ終わらないかもしれない――と、言ってましたが、むしろ次回で終わりそうな予感。あれ?


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Comments

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我が君 : URL

2013.03.20 Wed 23:42

ゴウダ無双!!スゴいよゴウダ!!!やれば出来すぎる子ww
ゴウダは優しい子だね、癇癪で文章おかしいのに可愛く思えるなんて、私 へん??

真城 青瑛 : URL

2013.03.21 Thu 00:21

うぉおおおおおおおおおおおおおおおっ
フェアリーゴウダうぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!(黙れ(´д`;;

不機嫌でイクヤさんとアキちゃん助けるゴウダがヒーロー過ぎる(笑)
揺るぎないチートなフェアリーで歓喜してます

どうしましょう歓喜し過ぎて、
イクヤさんに「幸せになぁーれ★」って言いながら、飛び蹴りしてるサキちゃんが思い浮かんd(ry
ごめんなさい、夜中に変なテンションになってましたorz

『幸福に生きられる。』
いいなぁ、イクヤさんがアキちゃんを思う気持ちがこもってるなぁ

アキちゃんだけじゃなくて、サキちゃんとかゴウダくんとか、自分自身も含めてそう思えたのなら・・・とも妄想してしまう処です

ミズマ。 : URL

2013.03.21 Thu 00:29

ゴウダ無双、……気持ちイイーーーーーーーーー!!!キャー ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 キャー

いやぁ、無双! まさに無敵! ゴウダくん、カッコイイなぁ! 癇癪起こした彼もいい。惚れそう。
でもすぐにオロオロしちゃうのがフェアリーがフェアリーたる理由かw かわいい。

形態変化、カイさんの服がなくなるのは破れてしまうからなので、靄状になるゴウダくんは服ごと靄に出来る……と、いいなぁ!
その辺りの(服ごと変化OKとか)ことは、個人の器用さによるんじゃないかね、と弁明してみます。します。「ゴウダくんが器用!?」と思わないでもないけれど、万禍識じゃん。どうにかなるじゃん←
でもしかし、ううむ、変化させたいけどしたらマッパ、という面倒な制約つけてしまったか……orz

ラスト、イクヤさんは笑いながら気絶ですか、そうですか。で、あれば、アキちゃんに残ってるイクヤさんの第一印象はその笑顔であればいい。ぼろぼろで自分を守ってくれた、血だらけだけど優しい笑顔。だから自分の場所はここだ、と。この手の中だと。そう思ってくれているといい。

しっかし、このゴウダくんを殺すって大変だよね、イクヤさん。ゴウダくんが言ってるだけではあるけれど。(たぶんイクヤさんへの愛ゆえに。……と、考えるとこの愛も分かりにくいよなぁ(^_^;))
イクヤさんがゴウダくんを殺すとなると、精神攻撃になっちゃうのかなー?←


ともあれ、あと数十年後の、ナイスミドルで落ち着きを獲得したゴウダくんは、どえらいイイ男になっているはずだと思うのおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!キャー ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 キャー

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.03.22 Fri 22:51

我が君
ゴウダ、すごい子なんだよーっヾ(´∀`*)ノ あれでもすごく手加減してるんだよ!
>癇癪で文章おかしいのに可愛く思える
我が君はへんくないよ! ゴウダかわいいもの! 言ってること物騒だけどw
優しいからネガティブになっちゃう子なんだよね、可愛い(〃艸〃)


真城 青瑛さま
ゴウダうぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ! うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!(○´皿`从´皿`●)

ゴウダがチートでヒーローなのを読み取っていただけてうれしいです/// 可愛い担当、だけど最強の男! 黒服! ネガティブ! でも妖精なのがゴウダ(笑)

>イクヤさんに「幸せになぁーれ★」って言いながら、飛び蹴りしてるサキちゃん
本当ですよ! おそらくサキさん(霊体)は、もう頻繁にイクヤさんにとび蹴りしたりエルボーしたり、してるんじゃないかと思うんですけども! イクヤさん感じ取って!←

イクヤさんは、とにかく「アキちゃんがしあわせになるように」ってのを目標に、この後数年間過ごして、通常の小話時間軸に辿り着くわけなのですが。自分も含めて、みんなが――と、思えるようになるのは、もうちょっと先……かなあ? と、いう感じです。
そう思えるようになれば、本当に、とっても良いのですけれどε(*´・ω・)з


お姉さま
無双です! チートです! でもあれはまだ本気じゃないので本気出したらゴ○ラみたいなもんだと思います大怪獣ゴウダw でもそうなんですね、フェアリーだからすぐに素に戻っちゃうのですwww

>個人の器用さによるんじゃないかね、と弁明してみます。
>「ゴウダくんが器用!?」と思わないでもないけれど
卯月もそれ考えました、考えて「……え、ゴウダ、器用……?」ってなるところまで同じ流れでした(笑)
筋肉好きな卯月としては、ゴウダにもカイさんにも、肉体美を存分に披露してもらっていいんですけどね! まったくいい! むしろいい! バッチ来い!щ(゚▽゚щ)
なんですけど、ゴウダの場合は戦闘中に変化したり戻ったりを繰り返すので……まさかブラブラさせながらね、戦うわけにもいきませんよね(言うなし! カイさんの場合はいいと思うのです、カイさんは変身して戦闘して戦闘後に戻る感じ(だと思ってる)ので、もうその褐色の胸筋から腹筋から思いっきり堪能させてくださいげふげふ←
いざとなったら服の件はちょーSF(すこし・ファンタジー)的ななにかで着衣できますし!(笑)

イクヤさんと会った頃のことを、アキちゃんはどの程度覚えているのかなあ……と、考えたら、じつはそんなに鮮明には覚えていないのかもしれない? という結論に達しました。覚えててもおかしくないんですけど、地祇の家から逃げてきた直後は、サーシャお兄ちゃんの邪眼で催眠状態になってる部分もあるから、ちょっとぼーっとしてた……のかもしれない← よくは覚えてないけど、印象だけは強く残ってて、イクヤさんは守ってくれる、大丈夫、と思ってる、みたいな。

>イクヤさんがゴウダくんを殺すとなると、精神攻撃
……いま、ふっと、イクヤさん闇落ち√で考えたらイクヤさんがめちゃくちゃえげつなくてヒーローェ……って、なりました。イクヤさんの精神攻撃、ゴウダ涙目(;д;)

>数十年後の、ナイスミドルで落ち着きを獲得したゴウダ
かっこいいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!ヽ(○`・v・)人(・v・´●)ノ
しかし風格が出るともういよいよ見た目ギャングにw ゴッドファーザーにwww

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