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2013.05.10 Fri Novluno Child――恋のような衝撃と哀情。 その3-2

歌さまのお題サイト50題に挑戦、ひきつづきフェアリー強化月間、今回は卯月どうやら綺麗に場面を区切るつもりがないらしいぜ!?←









   ***



 毎日届いていたメールが来ない。もう一週間になる。
 ――どうすればいいんだ。
「死にたい……」
「あ、兄貴! 元気出してください! アキさんから連絡ねェのはきっと大規模通信障害とかそーいう、」
 ヒロの言葉をさえぎるように、短い電子音が響いた。
 わざと腰をずらして履いているスラックスのポケットから、軽快な音が天羅本邸の一室に響き渡る。その着信音には聞き覚えがあった。ヒロが電話帳の登録ひとり一人に、個別に着信音を設定しているのも知っている。
 一瞬の沈黙。
「わ、あ、あ……ぁああああああああおおおおおおおおっ」
 ヒロが力場までつかって投げ放った携帯端末は、すさまじい速度で窓を枠ごと粉砕し、庭の奥のさらに向こうまで飛んでいって消えた。あとに残るのは粉々になった窓枠とガラスの破片と、肩で大きく息をするヒロだけだ。
 ヒロは病的な発汗量で顎を伝い落ちるしずくを手の甲で拭いながら、
「あ、あぶなかった……誰かが俺のスマホに、あー、えっと、ば、ば、爆弾……時限爆弾を仕込んでやがったみてェっすよ……! あぶねェあぶねェ」
「……アキさんか」
「おおお俺なんざまだまだ下っ端も下っ端、箸にも棒にもひっかからねェ三下だっつーのにどこのバカだか気が早ェっつーンすよ! ね!? 命狙われるのはもーちょっと出世してからじゃねェと、オレのほうもカッコがつかねェつうか、」
「アキさんか」
「ホント……マジで……どこのバカが……」
「アキさんか」
「ぅ、あ、お……す、すんません! 兄貴ぃいいいいいいいっ!」
 オレンジ色の頭が一瞬にして視界から消え去った。
 ヒロは平身低頭、床に這いつくばって額を激しくぶつけはじめる。かなりいい音がしていた。けれどヒロの声はそれ以上に大きい。
「兄貴をさしおいて、俺がアキさんからメールをいただくなんざおこがましいにもほどがあります勘弁してくださいって何遍も返信したンすけど! 一斉送信の宛先から! アドレス抜いてもらえなくて! すンません兄貴ぃいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
「ヒロくん」
 声とともに部屋のドアが開き、ゴッ、と何度目か床に額を打ち付けたところでヒロの動きがぴたりと止まった。土下座したまま全身に冷や汗をかいているのが見えるようだ。
 キリヤマさんは部屋に入ったところで、ヒロの姿と、俺と、それから壊れた窓を順繰りに見やり、眼鏡を押し上げた。レンズの向こうで目つきがわずかに険しくなる。
「騒がしいと思えば……ゴウダくんを呼ぶだけのことに、どれだけ時間を費やすつもりです? そんなに手があいているなら、とりあえず、あの窓の修繕の手配をなさい。破片も片付けておくように。仕事はほかにもあるので迅速に」
「に、兄さんは兄貴が心配じゃねェんですかっ!?」
 もう一週間も元気がないンすよ!? 顔を跳ね上げて言い募るヒロから、キリヤマさんは俺へ一瞥を向け、軽く息を吐きつつもう一度眼鏡を上げた。
「ゴウダくんが元気ではつらつとしていることのほうが少ないでしょう」
「それは兄貴がそこらの浮ついてチャラチャラしてる連中とはちがうだけッすよ! いまの兄貴はそーじゃなくて、様子がおかしいンすよ!」
「いつだか奥様方が製作されているゲイポルノの自費出版物をうっかり見てしまった時もこんな調子でしたよ。そのうち回復するでしょう。気の持ちようです」
「だから元気づけて早くいつもの兄貴に戻ってもらいたいンじゃねェすか! あと姐(あね)さんたちが描いてンのはゲイポルノじゃなくて、今時はボーイズラブってンです。兄さん」
「なんだってかまいませんよ、猥雑なものに変わりありません。――ともかく、きみは早くここを片付けるように。階下から道具を借りてらっしゃい」
「うっ、」
「すみやかに」
 特別語気を荒げはしないが、一音一音をはっきり発したキリヤマさんに、ヒロは弾かれるように立ち上がり、背筋を伸ばすと威勢のいい返事をひとつ残して部屋を飛び出していった。キリヤマさんが、やれやれ、と言いたげに首を振る。
「ヒロくんの教育はきみに任せたはずですよ、ゴウダくん。しっかりなさい」
「はい……すみません……」
 反省はしてもこれ以上上手くやれる気がしない。ヒロがその働きぶりに関してキリヤマさんにも、親父様にも認められているのは、俺がなにか教えてやったからではなく、自分で仕事を覚えていった結果だ。俺はなにひとつ上手くできない。
 生太刀から預かった彼女を、傷つけないように守ることさえ出来なくなった。
 それだけは上手くやれていると思っていたのに。
(ゴウダさん――)
 耳の奥に、血に酔った彼女の声が残っている。治ったはずの噛み傷がまだ痛むような気がする。触れあった肌があの熱を思い出す。身じろぐ姿が視界によぎり、忘れようにも、忘れられない。
 ――どうすればいいんだ。
「すくなくとも仕事中に女のことを考えるのはおよしなさい」










キリヤマさんの言うことはもっともだけど、お ま え が 言 う な (*´ゝv・`)バチコーン三☆

と、いうわけでキリヤマさんの前科が気になる方がいらっしゃるようでしたら、こちらをご覧いただければと。愛妻家ってか、もはやただの心配性(笑)

今回は、おとしまえ編や雨の日に猫拾った話みたいに長くはならない予定なので。とりあえず5、6回でまとめたいなー。希望的観測。


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Comments

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碧生 : URL

2013.05.11 Sat 00:07

スマートフォンが、スマートフォンが…!
誰だ、爆弾を仕込んだのは?!
ヒロさんの一発芸(殴)が鮮明に、私の頭の中でぱぁぁぁっと映像化されました。
きらきらしていました。しょっぱいキラキラ舞ってました。

アキちゃん、メールおくってあげてー><
ゴウダくんがかわいいです(にやにやです!

ミズマ。 : URL

2013.05.12 Sun 21:48

豪速球、キタwww スマホは無事か、無事なのかwww

>「アキさんか」
ゴウダくんwww やばい、この圧力、私でもめり込んで土下座しちゃいそうw というか心中お察し致しますwww←
ヒロくんとちゃんと会話のキャッチポールできてるなー。と思ったけど、これは話そらそうとボール球ばっかり投げてるのに関係なしに振りぬいてホームランしてしまってるね、ゴウダくん。キャッチボールではない……。

>ゴウダくんが元気ではつらつ
オロ〇ミンCか! うん、似合わない、似合わないよ、ゴウダくんwww

てか、ゲイポルノ本、読んでしまったのだね、ゴウダくん……。それはBLというのですよ、キリヤマさん。カイさんは「男色本」とかって言いそうな予感。時代だねー。もーちょっと隠語っぽい言い回しはなかったかしらん。

とりあえず、終わる頃にはゴウダくんの気分が少しでも浮上していますように!

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.05.13 Mon 23:34

碧生さま
ずっとイクヤさんのターン! だったので、満を持してのフェアリー強化月間です! うちの最強はかわいいのです!(親バカw)
そしてヒロくんのスマホはお星さまになったのです……見つけ出したとしてもきっと潰れてひしゃげているとw しょっぱいキラキラはまさにそんな感じで! ヒロくんは兄貴のために一生懸命なのに当の兄貴はアキちゃんのことで頭がいっぱいです(笑)
アキちゃんはメール一斉送信でヒロくんの切実な願いも無視してアドレス入れっぱなしにしてるのに、ゴウダのはちゃんと抜いてるとかゴウダ完全に涙目な展開w


お姉さま
ヒロくんのスマホはお星さまになりましたよ! さすがに製品の耐久性チェック項目に吸血鬼の力場に対する耐性確認は含まれて、ない、はず! 造ったらコストばか高くなりそうですからねー(笑)

>「アキさんか」
この言葉の連続だけでもう「ゴウダ、いっぱいしゃべってる……!」と思ってしまったので普段いかにゴウダが背景と同化していたか思い知ったとかそんなまさかw 無言の圧力w ボール球ぜんぶ打ち返されてホームランとか、ヒロくんが不憫でならないwwwww 強くなれ若人wwwww

>オロ〇ミンCか!
体格的にはCMに起用されてもいいくらいイイ身体してるんですけどね! ゴウダ!

>カイさんは「男色本」
言ってそうw そして今回ヒロくんから今時の名称を教えてもらったキリヤマさんが何かの機会に「最近はBLと言うんですよ、カイ。知らないんですか?」とか嬉々として知識をひけらかすけどまあその機会っておそらく目の前にキリカイ本とかある状況なので最終的にはふたりとも余計精神的に疲弊するEDだと思いました(笑)

>終わる頃にはゴウダくんの気分が少しでも浮上していますように!
浮上しますように! 蝶々になっていませんように!(笑)

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