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2013.05.28 Tue Novluno Child――恋のような衝撃と哀情。 その3-5

歌さまのお題サイト50題に挑戦、ひきつづきフェアリー強化月間、だけどもこれ今月中には終わらないよね!?←











 カヤと暮らしていた頃は、食べるといえばカヤの血で、他のものを口にした記憶があまりない。お腹がすけば牙を立てて血を飲んだ。カヤもそうしていたから、それが「いけないこと」だなんて、思ってもみなかった。
 カヤと離れて、イクヤさんに拾われて、普通の食事を摂るようになって、必要な血も天羅のおとうさんに都合してもらって、不自由はないけれど――いまでも、あの味が恋しくなる。
 どんなにおいしい料理も、新鮮な血も、あんなに甘くていい匂いのするユリちゃんのものだって、カヤの血の味には敵わない。
 カヤの血は――。
 純粋な同族の血は、濃くて、重くて、とても美味しいけれど、そんなふうに思うのは「良い子」じゃない。
 同族喰いは、はしたない。悪食。行儀が悪い。
 だからちゃんと、しっかり、身体の傷痕を服で隠すように、だれにも見られない場所に仕舞い込んで、上手に隠していようと思っていた。カヤの血が恋しくなるのも。同族の血が欲しくなるのも。美味しそうだと思うのも。
 もっと上手に隠したいのに。
「ゴウダさんに、噛みついて、しまって。ちゃんと、出来なくて。わたし、ゴウダさんに、嫌われたく、ない……です」
 視界がにじんでいた。
 まばたきをして止めどなくなってしまう前に、イクヤさんが手のひらで拭ってくれる。もう片手はわたしと繋いだままで。うつむいてしまった頭を、そっと撫でてくれた。
「ゴウダに嫌われたくなくて、アキちゃんは、どうしたいの?」
 ささやくみたいな、気遣いの声だ。
 やわらかくて、優しいけれど、むずかしいその質問に首を振る。どうしたいのかなんて、わからない。どうすればいいのかわからないのに。
「いまみたいにさ、あいつのこと避けてちゃ、どうしようもないと思うよ」
「……でも、」
「ん?」
「こわい、です」
 ぼんやりと憶えている。赤く光る目。きつく眉間を寄せて、苦しそうだった。
 あんな顔は見たことがない。
 ゴウダさんは、きっと、怒っているに違いない。
 わたしのことを行儀の悪い子どもだと、思ったに違いないから。
「こわく、て……恥ずかしい、です」
 良い子でいようと思っていた。お利口ねって、褒めてもらえるように。ちゃんと「良い子」でいたかった。血混じりの、子どもだけれど。好きになってもらえるように。嫌わないでいてもらえるように。そばにいさせてくれるように。
 良い子でいようと思っていた、それなのに――。
「アキちゃん」
 イクヤさんが何かを言いかけた。
 その時に、足音が聞こえた。
 まだほんのかすかで、遠くて、きっと人間の耳には聞こえないくらいだけれど。硬い靴底の音には、聞き覚えがあった。
 顔を上げれば、入り口のほうを見やっていたイクヤさんが振り向いて、こちらを見る。
 青い瞳の視線に思わず、繋いでいた手を抜き取って、立ち上がった。足音が近づいてくる。イクヤさんが何か言いそうになる。
「――わたし、」
 言い訳は出てこなかった。
 逃げるように早足でその場を離れ、ベッドのある部屋に駆け込んでドアを閉める。同時に入り口の扉をノックする音が聞こえた。イクヤさんが出て行く。足音がする。後ろめたさにどきどきして、身動きができなくて、ドアノブを握ったまま立ち尽くす。
「……、アキさんは?」
 ドア越しにくぐもって聞こえるのは、ゴウダさんの声だった。
「あー、うん。まあ、部屋にいるけど」
 呼んでくるか? と、イクヤさんが言う。どきどきして息苦しかった。どうしよう。どうしよう。ゴウダさんが会いに来てくれたのに。隠れてしまわなければ良かった。
 目の前のドアを開けて出て行く勇気がなかなか見つからない。
 ゴウダさんに会って、それから、どうすればいいかもわからない。ゴウダさんが怒っていたらどうしよう。どうしよう。
 イクヤさんが、はやく、呼んでくれるといいのに。
 そうすればせめてここから出ることができそうなのに。どきどきしながら息を詰めて、じっと耳をそばだてる。ノブを握る手に力がこもって、震えそうだった。
 ――はやく、
「いや、いい……お前に話が、あるだけだ。彼女は、いなくても……いいんだ」
 ゴウダさんの声はくぐもっていて、張りがなくて、拍動の強い心臓の音と、耳の奥に聞こえる血流の雑音にまぎれていたから、聞き違いなのかと思った。
 きっと呼んでくれると思っていたから。
 聞き違いなのかと思った。
「アキさんを、」
 ゴウダさんが言う。
「俺に預けるのは、もう、やめてくれ」










前半、やたらにカヤカヤ呼ばれてるからカヤ兄くしゃみしまくってて垂れてきた鼻水をシャオティエンにちり紙で拭いてもらってればいいと思う。


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Comments

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ミズマ。 : URL

2013.05.29 Wed 00:10

ご、ごごごごごこご…………おまええぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!(言葉にならない)


あー、もうこのフェアリーは畜生! 誰かユリちゃん呼んできて! そんでフェアリーとアキちゃんそこ正座ね! 小一時間ばかり説教だ、二人とも!
そのあとフェアリーは更に二時間ばかり説教追加な!! 女の子に気ぃ使わせてんじゃねぇよ、ばかぁ!!
その後はイクヤ、てめぇだ!! 理由? ンなもんは後だ! とりあえず説教な!←理不尽です。

あーもー、とりあえず朔ちゃん続き! 続きをはようおくれよー!! 読みたいよー、続きが気になるよう! あのゴウダのセリフきいてアキちゃんがすぐに部屋から出てきて……とかなら今月中に終わるかもだけど、ショック受けて動けなくなったら梅雨明けまで続くんじゃないかって長編コースになるんじゃないかなぁ、と推測致しますけどもー。続きー。おくれー!


そして愛妻に「ちーんってしてください」ってやってもらうカヤ兄www  

我が君 : URL ゴウダ

2013.05.29 Wed 13:42

『俺に預けるのは、もう、やめてくれ』
誰かコイツ殴れぇぇぇぇ!!!!
いや!私が殴る!グーで殴る!!そぅじゃないだろぉゴウダぁ!!
てゆーか、フェアリー月間で、ゴウダが主役なのに怒られるって、ゴウダらしくてウケる。

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.05.30 Thu 22:48

お姉さま
お姉さまのろれつが回らなくなるフェアリー月間www

>理由? ンなもんは後だ! とりあえず説教な!
「――えっ!? 俺もなの? 俺も説教なの、ミズマちゃん!?」って、イクヤさんがあわてていますw
「ユリちゃん、優しくしてね(´;ω;`)」「イクヤさんがそう言うとなんだか卑猥……」「優しくしてくれる?(´;ω;`)」「う、うん」「ナニ押されてうなずいてンだよ、クソガキ。てめえも、そンなに優しくされたきゃ俺が代わってやるぜ? 生太刀」「やだーカイさんこわーいw」とか(笑)

>フェアリー月間
な、なんとか来月初旬には完結しそうです! よ!←

>カヤ兄
なんやかんやでラブラブらしい夫婦w


我が君
>誰かコイツ殴れぇぇぇぇ!!!!
メールもありがとう!ヾ(´∀`*)ノ
ゴウダ推しの我が君にさえグーパンチされるゴウダwww ゴウダ月間のはずなのにwww

ゴウダもアキちゃんも、もっといろんな人にちゃんと相談すればいいのにねえ、と思いつつ、続き書いたよ!

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