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2013.06.11 Tue Novluno Child 『フレンドリー』

最近、カタカナ英語の副題が多いのは、あれです、タイトルを闇の~からNovluno Childにしたら、なんとなくその響きに合わせてしまっているからです。あと微妙に書けない期です現在進行形ing。(本題)

でもでも、フェアリー月間のおとしまえをつけねばならんので! つけてみた! ゴウダといっしょに一斉送信からはぶられていた可愛い子ちゃん突撃編。










 ユリちゃんがやって来たのは、ゴウダさんと仲直りをした翌日の、夕方だった。
 ものすごく怒っているみたいだった。
「言いたいことがあるんだけど、最初にコレははっきりさせとく――私は、アキを、友達だと思ってる」
 学校の制服は、まえに着せてもらった長袖じゃなくて、半袖になっていて、スカートも光に透けるくらい薄く軽くなっているみたいで、牙の痕なんてひとつもない手足が長く伸び出ているから、汗ばんだ肌からは同族除けの臭いにまざって、これまで以上に濃くて甘いアムリタの血の匂いが強く漂っていたけれど。そんなのには関係なく、ユリちゃんの気迫に押されて唾を飲んだ。
 事務所の入り口で、開けたドアを挟んで、ユリちゃんは睨むようにこちらをじっと見つめている。
「アキも私のこと、友達だと思ってくれてるんだよね?」
 ユリちゃんがどうして、いきなりこんなことを訊ねてくるのか、すごく怒っているみたいなのかわからないけれど、考えるよりもとにかくこたえなくちゃいけない気がして、なかなか出てこない言葉の代わりに何度もうなずいた。ユリちゃんは友達。
 同じ年頃の女の子の、はじめての友達。
「あの……あの、ユリちゃん……怒ってますか……?」
「どうして怒ってると思う?」
 わからないから訊いたのに、ユリちゃんは教えてくれない。やっぱりすごく怒ってる。はやくなんとかしなくっちゃ、と思えば、焦燥感にどきどきしすぎて血の気が引いていくのがわかった。唇が震えそう。
「ごめんなさい、ユリちゃん、わたし、」
「なんで謝るの」
「それは、」
「私が何に怒ってるのか、わかってるわけじゃないよね。もしかするとアキが謝ることなんてないかもしれないのに。わかんないけどとりあえずゴメンは無しだよ。そんなの意味無い」
「ユリちゃん――」
「――おい、クソガキ」
 そのへんにしとけ、と声をかけながら、ユリちゃんの後ろに立ったのはカイさんだった。このあたりはあまり治安の良い場所じゃないから、ユリちゃんが心配で、いっしょに来ていたんだと思う。大きなバイクの音がしていたから、どこかに停めて、遅れて上がって来たのだろう。
 カイさんの薄青い目がちらりとわたしのほうを見て、それからユリちゃんに戻って、ため息をひとつ。
「しょっぱなからトばし過ぎだ、チビがビビッてンじゃねェか」
「だって!」
 勢いよく振り向いて反論しかけたユリちゃんに、カイさんは片目をすがめて、反対の眉を上げながら、首をかしげるようにして見せる。ユリちゃんは言いかけた言葉をぐっと飲み込むみたいに口を閉じ、視線を落とした。
 思いつめているような、思い悩んでいるみたいな険しい顔で、ぎゅっとこぶしを握ってスニーカーのつま先を睨みつけているユリちゃんの様子に、どうしようかと焦っていると、引き結ばれていた唇がだんだんとがってきて、それから。
「……だって、」
 ユリちゃんの声は、さっきまでの剣幕がうそみたいな、拗ねているような声だった。
「アキが私に連絡くれなかったんだもん……」
 連絡?
 思わず首をかしげると、カイさんが天井を仰いで大きなため息を吐き、それに弾かれたようにユリちゃんも顏を上げた。怒り顔なのに頬が赤い。背伸びしてカイさんに詰め寄りながら、
「カイにはメールが来てたのに! 私にはなかったでしょ! 笑わないでっ」
「笑ってねェよ呆れてンだよ。あんだけ毎日俺にチビの様子聞いといて、腹立てンじゃねェよ。いーじゃねェか」
「直接聞くのと間接的には全然ちがうから! 話がべつだから!」
 カイさんは肩をすくめてそっぽを向いた。ユリちゃんが怒りの矛先を逸らされて地団太を踏みそうになりながら、それをこらえてこっちに向き直る。ずいっと、大股一歩。
 事務所の表からなかに入って、わたしのすぐ目の前に立つ。
「どうしてメールしてくれなかったの」
 そう言いながら、ユリちゃんが突き出してきたのは携帯電話だった。
 画面の端に三角耳の犬やお花のシールが貼られたディスプレイには、メールの受信ボックスが表示されている。わたしの名前で着信しているメールの日付は、最新が今日の日付。その次は一週間以上前になっていた。体調を崩す前日の日付。
 その夜には動くのもやっとになって、次の日はイクヤさんに連れられてゴウダさんのお家に行って、それから――今日まで、ユリちゃんにはメールも電話もしなかった。
「私から送っても返信来ないし、電話かけても出てくれないし。心配した」
「ユリちゃん……」
「体調が良くなったのも、だけどゴウダくんと何かあったんじゃないかっていうのも、カイに聞いたよ。でも、私はアキに報せてほしかった」
 ユリちゃんがおろした携帯電話を追いかけるように視線を逸らす。
 ごめんなさい、と言いたいけれど、とりあえずゴメンは無しだよってユリちゃんは言った。だから考えなくちゃいけない。ユリちゃんはどうして怒っているの?
(――だって、アキが私に連絡くれなかったんだもん)
(カイにはメールが来てたのに、私にはなかったでしょ)
「私、そんなに頼りないかな……?」
 漏れるようなため息が聞こえた。
「アキにも事情があるのは、わかるし。秘密にしたいことだってあるだろうし。こういうの、自分で言いたくないけど、私、人間だから、アキたちのことよくわかんないこともあるし……でも、私だけのけ者にされるの、ヤだなあ……」
「それは、ちがっ……!」
 顔を上げると、まっすぐにこちらを見ていたはずのユリちゃんがうつむきがちになって、どことなくしょんぼりして見える。わたしのせいだ。とっさに出てこない言葉のかわりに手がばたばたしてしまう。
「ユリちゃんは」
 同じ年頃の女の子の、わたしのはじめての友達。
「ユリちゃんは、頼りなくない、です。のけ者に、してません……!」
 思わずぎゅっと握ったユリちゃんの手にも、腕にも、隠さなければいけない傷痕なんかひとつもなくて。驚いたようにわたしを見て、薄く開いた唇のすきまにも、牙は覗かないけれど。ユリちゃんは。
 わたしの友達。
「本当は、わたしも、ユリちゃんに相談したかった……けど」
「けど、じゃあ、どうして?」
「こわくて」
 ユリちゃんをのけ者にしたんじゃない。わたしが、拒絶されるのがこわかった。
 嫌われたくはないけれど、心配させて、傷つけたかったわけじゃない。
「わ、わたし……ゴウダさんに噛みついて、しまって……だから、ゴウダさんと、うまく、お話しできなくて。ユリちゃんに、どうすればいいのか、教えてほしかった、けど……ユリちゃんに、こわがられるのも、いやで。恥ずかしくて――」
 ごめんなさい、ユリちゃん。
 本当はちゃんと顔を上げて言うべきなのに、すぐに目を逸らしてしまうのは、わたしの悪い癖だと思う。正直に打ち明けてみたけれど。こわがられたらどうしよう。ほんのちょっとの沈黙で不安になる。
 そんなときに、握りしめているユリちゃんの手に力がこもって、思わず腰が引けた。びくっとして開きかけた手を振り払われる。嫌われた。こわがられた。
 目を閉じて逃げようとしたのにそれより早くユリちゃんが怒鳴る。
「――ばかっ!」
 すくんだ身体を力いっぱい抱きしめられた。
「バカバカバカバカ! 私そういうの嫌いって言ったじゃん! 決めつけないでよ! バカ!」
「ユリちゃん、あの、」
「私がアキのことこわがるわけないんだからっ、ごめん実際そうなればこわがるかもだけど! でも、その時にはアキにも理由があるでしょ!? 意味もなく私のこと齧ったりしないでしょ!? そのくらいわかるし! だからこわくないんだもん! アキのバカ!」
 ユリちゃんは全身をぎゅうぎゅう押しつけるみたいにわたしに抱きついたまま、バカバカって何度もくりかえす。ユリちゃんはやっぱり怒っているみたいだけれど、ここに来た時の怒り方とも様子がちがうから、どうしていいのか迷ってしまう。
 とにかくユリちゃんは力みすぎて息が苦しいみたいで、なのに顔も上げないで唸っているから、背中をさすってあげると少しおちついた。よかった。
「ユリちゃん、ごめんなさい……もうしないです」
「私もごめん、最初アキにきつい言い方した。つぎはもっとちゃんと話す」
「わたしもちゃんと、お話しします」
「ん、そうしよ。お互い気をつけよ」
 ユリちゃんが顔を上げる。すぐそばで笑ってくれるから嬉しかった。わたしももっと上手に笑ったり、できるといいのに。できなくてもユリちゃんはいやがったりしないけど、おなじようにできるといいのに。
 わたしのはじめての友達。

 ――ユリちゃんが大好き。










じつは、このあとにカイさんとイクヤさんの会話があったりするのだけれども、まあ、今回はヒロインたちが可愛いだけでいいかな! って!←


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Comments

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ミズマ。 : URL

2013.06.12 Wed 23:52

私もユリちゃんと、そしてアキちゃんが大好きすぎて辛い……←


ユリちゃん! マジユリちゃん先生ッ!! マジ先生! 先生ぇーーーッ!!!(*゚ノO゚)<オオオオォォォォォォォーーーーーイ!
本当にこの子は得難い子だわー、かわいいわー、にやにやしちゃうわー、なんとも先生です。先生。マジで。
アキちゃんとこくる前までも、じたばたもやもやしてたんだろーなぁ。カイさんのとこにはメールきてるから様子はわかるけど、でもだからどうして自分だけハブられてるかって思って悲しくて怒ってて、それでメールが来たからって乗り込んで直談判、とか。
メール再開されたからホッとしてスルーじゃないんですよね、ユリちやん! そこはちゃんとしないとなんですよね! しこりは残すべきじゃないし、アキとはちゃんと友達でいたいからお話するのもという姿勢がマジ先生です。かわいい。

貪欲で前向きで、でも怖がりで、怖いんなら手放してしまえばいいのに、泣きながら「ヤダー!」ってだだっ子しているようだなぁとも思わないでもないんですけど、でもそれって大事だものね、大事なものを手放さないこと。それに関してはユリちゃん超玄人だと思うのですよ。唐突に両親と死別しちゃったからかなー。手を離したらいなくなってしまうものがあるって知ってる。手を離さなくても、いなくなってしまうことを知っている、みたいな。


ユリちゃんもアキとゃんもかわいいけど、ユリちゃんを無言で諭すカイさんが素敵すぎて辛いですヽ( ´ ∇ ` )ノ ←

カイさんとイクヤさんの会話もカモンだ!!
そしてこの流れでアキちゃんの携帯をデコる話もカモン!!!

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.06.13 Thu 22:10

お姉さま
(」゚ロ゚)」<せーのっ、ユリちゃんせんせぇ――――――――――っ! せんせぇ――――――――――っ!

幼少期からカヤ兄のもとでちょう閉鎖的に暮らしてきたアキちゃんに、三年かけて社会生活を教えてきたのはイクヤさんですが、なにせイクヤさんェがデフォのイクヤさんなので、こと対人関係においてはアキちゃんも知らず知らずにイクヤさん式になっちゃてる……と、いう。当たり障りなく、浅い関係になってしまうような、そんな感じ。なので今回も何事もなかったかのようにメール送信再開すれば問題ない、と思ってたのですね! アキちゃんは! でもユリちゃんはきっとそれで黙っちゃいないぞ、と! いうわけでユリちゃん先生におでましいただいた次第です。

本当に、ユリちゃんは得難い子。ユリちゃんの存在でなぶるのの世界もキャラの精神も幅が広がってます<(_ _*)>

イクヤさんもあれでユリちゃんには感化されてなくもない、気がしなくもない。元がイクヤさんェだからまったく変化ないように見えるけども。きっとアキちゃんがユリちゃんと仲良くならなければ、イクヤさんはカイさんのこと「おやっさんの料理人」って記号としてしか認識してなかったと思うので。

>大事なものを手放さないこと
ユリちゃんにあって、イクヤさんにもゴウダにもアキちゃんにもないスキル。絶対に意地でもはなさないんだ、っていう気構えは、うちのヒーローにもヒロインにもまだない。どころか、失うくらいなら手放す、とか、失わないために手放す、とか、本末転倒になりがちなので、まあいい大人のヒーローふたりはともかく、アキちゃんは「大切なものはつかまえとかなくちゃダメなんだ!」というのをユリちゃんから学んでくれるといいと思うのです。

>ユリちゃんを無言で諭すカイさん
百歳越えの立派な男性なので! 一から十まで言って聞かせるなんてしないよね! と、思ったので! カイさんはカッコイイー!ヾ(´∀`*)ノ

イクヤさんとカイさんの会話を挟むとまたイクヤさんェって言われちゃいそうだなあ、とかw
でもケータイデコデコのお話は! 書きたい! オチもなくデコデコして終わるけど! 書きたいです!

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