Aries.

Home > スポンサー広告 > スポンサーサイトHome > 小話 > Novluno Child 『お砂糖とスパイス、それから恋のひとかけ』 その3

--.--.-- -- スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013.06.25 Tue Novluno Child 『お砂糖とスパイス、それから恋のひとかけ』 その3

というわけで、カイユリ番外はつづいております。











「カイって、そんなにすごいんですか……? 吸血鬼として?」
「すごくスゴいんです」
 ユリちゃんはまだ半信半疑みたいで、それも仕方ないことだと思う。ユリちゃんは、同族(わたしたち)のことを詳しくは知らない。だから純々血のカイさんがどれだけ「すごい」のかもわからない。わたしだってその凄さちゃんと実感できているわけじゃないから、ユリちゃんはもっとずっとそうだろう。
 カイさんは、同族についてユリちゃんにたくさん教えたくはないみたい。
 イクヤさんもそれはわかっていて、だからすこし悩みつつ、言い方を考えながら話を続けた。
「人間(ユリちゃん)にはピンと来ないかもしれないけど、同族(おれら)にとって、血はすごく大切で。食い物だからって事もあるし、血筋を守るって意味でも大切だ。それでもって、天羅の血族(なか)じゃ、カイさんはおやっさんと同じくらい血が濃くて、血筋も良いのよね」
「カイがおじさんの従弟だから?」
「そーいうこと。――同族は長生きなぶん子どもが出来にくいもんだから、とくに血の濃い連中なんて、血筋を守るのに躍起になってる。俺に言わせてみれば、カイさんがいままで結婚もせず子どももつくらずにいられたほうが不思議なくらいだけど、でも、総領(おやっさん)の差し金で、子どもをつくりに同族の女が来たなら、もう逃げようはないと思うな」
「カイが、いやだって言っても……?」
「カイさんの気持ちなんて問題にならないくらい、同族にとって、血は大切なのよ」
 ユリちゃんがむっと眉をひそめるのがわかった。
 混血のわたしも、聞いていて、楽しい話ではないけれど。でも、イクヤさんの言っているのは本当のことだ。良いか悪いかはべつにして、『血が大切』だという事実だけは、まちがっていない。
「じゃあ……イクヤさんや、ゴウダくんも?」
 ふたりもすごい吸血鬼なんでしょう? と言うユリちゃんに、イクヤさんは苦笑する。
「俺らのスゴいは、カイさんみたいに歓迎される感じじゃないからね。子どもなんかつくるとコワいひとに怒られちゃうのよ、逆に」
「そ、そうなんだ……」
 ユリちゃんの眉間は険しさを残したまま、けれど目線はうつむいて、肩も下がっていた。噛み痕のない白い手が握りしめた携帯電話には、三角耳の犬のシール。
「それじゃあ、カイ……あの人と結婚するのかな……」
「ユリちゃん……」
 なんて言えばいいのかわからなくて、電話を握ったユリちゃんの手に触れる。
 ユリちゃんは顏を上げた一瞬だけ、途方に暮れているような表情で、だけどすぐにへらっと笑った。むりやり笑っている顔だった。そうだとわかっているのに、やっぱり、上手な言葉が出てこなくて、何も言えない。
 だから、ユリちゃんがかわりにしゃべってしまう。
「――でも、ま、まあね! 仕方ないよね、だってカイってじつはいい歳なんだもん。キリヤマさんなんて五人も子どもがいるんだし、カイが結婚したっておかしくないよねー」
「ユリちゃん、あの、」
「やだなあ、アキ、そんな顔しないでったら! だいじょうぶ大丈夫、なるようになるんだから、心配ないよ。だいじょーぶ!」
 ユリちゃんは明るく言って、笑っているけれど。
 その声も、手も、ちょっとだけ震えていて、頼りなくて、不安になる。ユリちゃんは大丈夫で、心配ないようには見えなかった。だからイクヤさんも、きっとわたしと同じことを考えていると思う。
 カイさんは、どうするんだろう。
 ユリちゃんを安心させてほしいのに――って。



   ***



「――ふざけンじゃねェぞ、バァさん。一体なンの真似だ」
「アンタって子は……どうしてそう、物の言い方がなっちゃないんだろうねえ」
 赤いキセルの吸い口をはなし、紫煙を吐き出す唇がけだるげなため息を落とした。
 時代錯誤なその仕草も、この女にかかれば古臭さをかけらと感じさせることがない。チョコレート色の肌に艶ののった波打つ黒髪、西欧めいた青い瞳、涼しげな単(ひとえ)をぞろりと着る女の色そのものの姿形が、カイにとって目の前の相手をいっそう苦手とさせた。
 アル・シャイターンの純々血。
 先代が迎えた最後の伴侶、そして当代天羅第一の妻サハル。
 天羅総領の伴侶が暮らす館は本邸の敷地内にあり、ここは丸ごと彼女のテリトリーだ。百年前を懐古させる洋館の、なかでもこの部屋だけはサハルのこだわりで一画に畳が敷かれている。そこに故郷の織物のクッションを積み、身体を預けてしどけなく脚を伸ばすサハルは、畳の座の外に立つカイを上目使いに見た。
「うぶな小僧じゃあるまいに、わざわざ訊かなくッてもわかるだろ?」
「俺ァ子供(ガキ)なんざつくる気はねェ」










話のネタとしてはすでに出ていた、おやっさんの六人の奥さんのひとり、サハルさんが登場。なぶるの世界のBL界隈では知らぬものなき天羅奥様の会の総元締め、エキゾチック・アラビア美女ヾ(´∀`*)ノダーッ! 各人、全力で美乳美脚を想像してくれよな!←


関連記事
スポンサーサイト

Comments

name
comment
ミズマ。 : URL

2013.06.26 Wed 00:54

やっぱりユリちゃん泣きそうじゃんかよー!!!щ(゚ロ゚щ)

カイさーーーーーーん!! どう決着つけてくれるんだよーーーーーーーー!!!щ(゚ロ゚щ)



そしてサハル姐さん! 美人っす! いや、美人ってより美女っす! 楚々と咲く花の可憐さではなく、熟れてとろけ落ちそうな果実のような美女っス!

でもなー、このカイさんの主張、通るのかなー? 精子バンクみたいなとこに登録でもOKってんなら、ばんばか登録させられてそうな気もせんでもないんだよなー。今じゃなくて、若い頃とかに。それで人工授精した子供がいるとか、そういう流れならあるかも知れないんだよなー、とか、今さらながらに言ってみたりする。当然本人は認知しておりません。
ってか、カイさんって一応地祇所属(まだ)で、天羅では預かりなんじゃなかったっけ? 勝手に子供作ったりして、いいの、か?
現地祇のカヤママはそういう婚姻とか産めよ増やせよに興味はなさそうだけど、周りの上層部の老人たちはやっきになってるかねも知れないなー。
やーだーなー、そういう風なことで血みどろどろどろの人体実験みたいなこととか、行われてるんだろーなー。で、あれば、カイさんってその素体として狙われやすさトップ入りなんじゃ……!? 最良血統だし、でもはぐれっぽいし? あ。実験に使うにはもったいなさすぎる血統か、そうか。じゃあ……未来、ウリくんとか危険だね! あとは前述の人工授精ぺいべーがいるのであれば、その子たちがそういう悪逆非道な実験体として使われてそうで……。

そして、子供を産む、育てる管轄で天羅のトップは第一夫人であるサハル姐さんですよー、ということなのかなー? それとも実家繋がりとかか?


ともあれ、続きは星座待機☆

卯月 朔 : URL いらっしゃいませ!

Edit  2013.06.27 Thu 00:00

お姉さま
どうすんのカイさぁああああああああああああああああああんっ!?щ(゚ロ゚щ)←

なぶるの世界の吸血鬼は、人工授精はしない方向なので、精子バンクとか代理妊娠とかそういうのはないですねえ。あれでけっこう生殖を神聖視してるのかも?しれない。なんかこう大始祖の血を継ぐとか守るとかそういう思想的なもので?(曖昧) もっと身もふたもない理由としては、医学的に処置しても出生率に劇的な変化はないのに受精段階での取り違えとかそういうののリスクが上がるのを避けたい、とかじゃないかなあと思います。

>カイさんの所属
カヤママの地祇はカイママと壮絶に仲悪そうなので、カイさんが出奔したのをこれ幸いと周りがとめるのも聞かずカイさんをはぐれ者認定した――と、卯月勝手に思ってましたああああっ!orz
ので、このお話もカイさんはあくまで地祇のはぐれ者、だけど天羅預かりで現状天羅血族に所属、のつもりで書いてますです。そんな感じで、なので結婚出産も天羅の許可でゴーできる、みたいな。

ちなみに、はぐれ者に「天羅預かり」とか「サンジェルマン預かり」とか、「預かり」って付くと「コイツは○○の血族のはぐれ者ですが、うちが預かって面倒見てるのでうちの所属です。コイツについては全面的にうちが責任を持ちます」ということになる、という設定で。おやっさんの奥さんにも、一家まるごとはぐれ者になってまるごとサンジェルマン預かりになって、サンジェルマンの血族所属として嫁に来たユーディット嬢とか、ホモのリオンに嫌われてはぐれ者になったから天羅のとこに転がりこんでそのまま天羅預かりで嫁になったホモ絵描きのロージー嬢とかいます。自分の血族からははぐれたけど、よその血族預かりになってる、ていう人はわりといて、このおかげで実はちょっとだけ近親婚で血が濃くなりすぎるのが緩和されてる~とかいう設定もあったりして。

>人体実験
やってそうでこわい血統主義の血族……ウリくん、逃げて―――――ッ!!(;゚Д゚i|!)

>子供を産む、育てる管轄で天羅のトップ
このあたりの説明は次回に入るはずですが流れによっては次々回になる可能性もなきにしもあらず?←

comment form

Trackback

FC2Blog User

  1. Trackback
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。